テレビ選びも金融商品選びも一緒のはずなのに!!

 先日、娘がテレビを買いたいというので付き合いました。「どんなテレビを買いたいのか?」と尋ねると、「まず安いこと。できれば3万円まで」。そして「液晶、薄型テレビ」。そして「サイズは20型以上」。うーん、そんなテレビあるのかァ?と思いましたが、見に行きました。
 テレビって安くなっているんですねえ。だけど目的のものの相場は8〜10万円でした。ところが、店員さんに一番安いものという注文をつけてお願いすると、3万円台の20型液晶テレビが出てきました。「これはどうして、他に比べて安いの?」と聞くと、「このテレビは2011年以降は新たな機器を付けないと見られなくなるんです。それをつけないで良いものが高いものです」。ふーん、そういうことだったのか。娘に説明すると、まだ4年ぐらいあるし、先はもっと液晶テレビが安くなっているかも知れないし、これでよいということになりました。娘も案外考えているんだなあと思いました。
 こうした生活に身近なテレビだとか、車だとか、食事だとかには非常にこだわりがある方でも、こと、投資の話になると、「もう少し考えて決めましょうよ」という事例がたくさんあります。「こういう目的でこんなものが欲しい」というイメージが無いままに、投資することが目的になっているケースです。「ここに満期のお金があります」、「来月退職金が出るんです」、「回りには投資をかなり前から始めている人がいるのですが、今からでもおそくないでしょうか」などなど。そのお金をどんな目的で使いたいのですか?将来そのお金を当てにする家族のイベントとかありますか?預金よりも効率的な運用を考えたいということでしょうか、それともリスク覚悟で大きく増やしたいということでしょうか?
 「とにかく、何かで運用を始めたいんです。始めて楽になりたいんです」・・・。こういう方、けっこういらっしゃいます。「投資をしなければならない」と強迫観念をお持ちの方。そこで私は毎回申し上げます。
 投資は投資をすると決めた瞬間から「いつ始めたらよいか」と悩みが始まります。そしていざを投資を始めると「なんで、もう少し考えてから始めなかったのか」と不安が始まります。つまり投資には悩み・不安がつきものなのです。大事なことは、その不安や悩みとつきあいながら投資を継続すること。投資を始めたら悩みが解消されるわけではありません。しかし同じ悩むなら、わからずに始めて後悔するよりも、やる前に自分の目的を明確にしてじっくり時間をかけ商品選びに悩んだ方が、悩みは浅くなります。投資は人に合わせる必要はなく、自分のタイミングで行えばよいのです。投資のタイミングは、これからさき何度もあるわけですから。
 一人では頭の整理ができない人がわたしどものようなところを頼ってきていただいています。あなたの回りに、自分の立場を理解して助言してくれる人がいたら、その人を大事にしてください。その人の存在は、「優秀な金融商品を知ること」よりも大切なはずです。