EU首脳会議から2週間ほど経ちましたが、これまでのところ、ECB(欧州中央銀行)やイタリアなど債務問題国の対応は市場を満足させるものではありませんが、失望させていないと言えるのではないでしょうか。とりわけ、21日にECBが行った、最長3年間の資金供給の入札を行い、523の金融機関に対して4890億ユーロ(約50兆円)の資金供給を行ったのは評価できると思います。
「資金量が足りない。銀行による国債購入や融資拡大への効果は限定的」という声もありましたが、欲を言えばきりがないこと。ECBが期間3年という長い期間を年1%の固定金利で無制限に資金供給したのは、金融機関の資金繰りを懸念する気持ちをだいぶ和らげることになりましたし、ECBの行為は市場に対する配慮が見られたと安堵感を与えることにもなりました。
この先に紆余曲折な事態が予想されますが、残された時間がない中でイタリア政府もスペイン政府も具体的な緊縮財政の道筋を示そうと苦労、工夫している様子が伝わってきます。
にもかかわらず、日本の政治には相変わらず緊張感が見えませんね。「子、孫の世代に借金を押しつける余裕、猶予は日本にはない」と消費税増税を訴え危機感をあおっておきながら、税金は自分の懐のお金じゃないからと使途を充分に吟味することもなく大盤振る舞いの様子。
いざとなったら、日本には豊かな個人と企業がたくさんいるんだというノーテンキ。
イタリアやスペインでは国債利回りよりも低い利回りの社債が現れている。国よりも企業の信用の方があると市場は評価している。格付け会社が政治力を見て国(ソブリン)の格下げを行うのは非常に納得がいくように思います。