FRBの公定歩合の緊急利下げにより相場のパニックは一旦収まった形になりましたが、私は今回の急落は今までの急落とは別で、解決には時間がかかると考えています。
一番の違いは、金余りを促しリスクに対して鈍感になっていたファンドに対する金融機関の貸し出し競争にブレーキがかかったことです。相手を見て適正な融資額を決める、多く貸しすぎた先から速やかに回収を図るという動きです。これは運用する側にとって死活問題です。すぐに換金できるものばかりで運用しているわけではなく、返済を待ってもらうか、他から調達するかを迫られます。結果ばたばたと動けば動くほど、「あそこは危ない」ということになって、益々調達が困難になる先もあるでしょう。こうした運用の失敗ではなく、融資の道が断たれることによる信用危機で破綻するケースはこれまでありませんでした。
これは中央銀行であるFRBや日本銀行や欧州中央銀行がいくらお金を金融機関につけても、金融機関がその先の融資に慎重になっていては好転しません。
また日本企業にとっても試練が続きます。これまで円安に支えられ好業績に酔っていた企業は戸惑うばかり。おまけに昨年から企業間の株式持ち合いが再開され、為替だけではなく株式の評価損を抱えて困っている企業も多いでしょう。競争力がある優良企業は本業の業績数字が想定外の円高に振れて決算数字が台無しされては大変と、為替の確定を急ぐでしょう。円安に頼った企業は為替をこの水準で確定するのに躊躇があるので、もし為替が一段の円高に向かった場合は大きな業績下方修正を覚悟しなければならないでしょう。そういう意味では、9月中間決算前の為替相場の上下に振り回される企業の財務担当者は気の毒です。本業で利益を出すのに厳しい環境にある中で、自分の頑張りだけではどうにもならない為替相場や株式相場の動向に企業が振り回されるのも久しぶりのことです。
霧が晴れるまでは、買い余力を残して、割安な投資対象をじっくり拾っていきましょう。