今朝の日経新聞に「投信販売、野村「系列外」を拡充」という記事がありました。野村證券が投資信託の販売で、系列外の運用会社の取り扱いを加速しているとのこと。現在、野村證券は「系列外」でも運用残高の多い投資信託を取り扱い銘柄として加える動きを加速させています。
販売金融機関が運用会社を選ぶ世の中になり、「系列にあぐらをかいていた運用会社は大変だ」というニュアンスが伝わってきますが、もう一面として「運用会社は系列を離れて、投資家とつながった販売会社と情報交換し投資家向きのサービスに心がけなければ、運用会社も販売金融機関も切り捨てられる」という危機感を持たなければならない時代に向かっているということだと思います。
「系列の投資信託を扱っているからダメ」と言われたくないから系列をはずす、のその前に、「何故あえて系列を選んだのか」を販売金融機関も運用会社も投資家に丁寧に説明すべきでしょう。
「系列の投資信託は悪」で「系列外の投資信託は良」という見方は、「販売手数料・信託報酬が高い投資信託は悪」で「販売手数料・信託報酬が低い投資信託は良」という見方と同じ次元の話だと思います。
運用会社は販売会社の身勝手な要請に振り回されず、これまで運用してきた「自信作」をもっと広く投資家に理解してもらう努力を行い、「リピーターを増やすために必要なこと」を考えるべきでしょう。投資家のフォローもしていない、できない販売会社に信託報酬をタダ取りされているだけではなく、せっかくのファンドの評判も落としかねません。
ある意味、「グロソブ」や「さわかみファンド」の成功は、「自分たちが惚れ込んで作ったこのファンドを広くいろんな人に知ってもらいたい」という運用会社の、この一本にかけた思いが持続されているからだと思います。
「何で、このファンドが投資家の多くを引きつけられないのかなあ」と疑問を持つ運用会社、あると思います。語り部の販売会社に問題があるのかも知れませんし、投資家への啓蒙の仕方に問題があるのかも知れません。運用会社も系列の販売会社にばかり頼らず、直接投資家に訴えてフアンを作る試みが必要だと思います。投資家への投資啓蒙に熱心な運用会社と、投資家の悩みをくみ取り運用会社への助言ができる販売会社の組み合わせが求められます。理想ですね。
どうも運用会社がかわいそうになります。運用会社に「面倒くさい」すべてを、販売会社が投資家保護を大義名分にし、押しつけているように見えて。もし運用会社が「頑張る気」、「やる気」を失い、運用のプロとして「品」までなくしたら投資家のフォローで苦労するのは販売会社です。
三菱東京UFJ銀行が「ATM手数料」の引き下げに動いたように、たいそうなことを新しく始めることではなく、投資家が求めていること、不満なことをひとつひとつ受け止めて動いていただきたいと思います。私の望みは、せめて投資信託の実績を比較しやすいように、投資指標、ベンチマークの過去データを投資家が自由に閲覧し、利用できるようにしてもらいたいと願います。「投資家が自分で投資判断をする」ためのインフラがまだまだ足りないと思います。