危機感をやっと共有し始めた機会!!

 注目されていたG20(20カ国地域首脳会合)で議題にされた90%がギリシャ問題で、しかも、イタリアの債務危機についてまで一気に飛び火し、イタリアはIMFの監視下に入り、財政再建に取り組むことになりました。

 フランス国債が最上級格付けAAAから降格する懸念、フランス国債、ベルギー国債まで忍び寄る金利上昇の兆候などユーロの本丸まで危機が迫り、ついに、「能天気では済まされないぞ」とイタリアが仲間から突き上げられ、「もう猶予はない」と危機感がやっとユーロ圏から世界へと共有のものとなり始めたように思います。
 本日の日経新聞には、欧州債務危機の対応から、先進国の国債などに分散投資する「グロソブ」のユーロ建て債券の組入比率が6月の36%から現在は15%も引き下げて21%となっていると紹介がありました。グロソブは、もともとユーロ圏の財政が安定し健全な国の集合体だとして、ユーロ圏債券への投資を積極的に行ってきた外債型投信でした。そして、先進主要国のソブリン債の中で信用力の高い国債に絞り、その上、主要通貨で分散投資を行うことで、外債投資の持つ、信用リスクと為替変動リスクの軽減を特に意識した超保守的な運用でした。結果、「そんな運用なら自分でできる。わざわざ、信託報酬をかけて運用を委ねるなんてもったいない。つまらない投資信託だ」と言われてきました。
 破綻リスクがない=信用力の高い先進主要国のソブリン債のみを投資対象にし、しかも広く分散投資を行う
為替のキャピタルゲインをあえて狙わない=複数の主要通貨に広く分散投資を行い、大きな為替変動リスクを避ける
 これは、安定した収益を着実に確実に確保するために、過去からの経験・知恵を取り込んで、そこそこのリターンを確保するための非常に基本中の基本の投資手法です。ところがユーロ危機の深刻化により、信用力の高いとされた3割以上を占めた「ユーロ圏ソブリン債」を疑う事態となり、分散投資の有効性まで疑われる事態にあります。
 これは非常事態であり、緊急事態であり、異常事態。
強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく。
もし今が異常事態であり、「長続きする事態ではない」と思う気持ちがあるなら、まさに、強気相場に向かう可能性に保険をかけるつもりで、少しリスク資産へのシフトを考えても良い時期だと私は思います。
 それと国際投信投資顧問さん、これまでユーロ圏債券投資をリードしてきたリーダーとして、メッセージはないんですか?ただシティグループ世界国債インデックスに連動を目指して運用するインデックス投信ではなく、アクティブ型投信なのだから、今考えていることを発信すべきだと思います。
 ピムコのビル・グロースは偉い。運用では大きな失敗をしましたが、「米国国債は破綻する」と言って米国国債を全て売り切ってしまった。米国国債の今後の懸念について危機感を持って、世界にメッセージを放ったのは債券運用のリーダーの資質として素晴らしいと思います。
 国際投信の運用者には、おそらく、今だからこそ、投資家に広く伝えたいことがたくさんあるとおもうにですが・・・・。