「強弱よりも運用学べ」という投資の格言があります。
よく「魚をもらう」よりも「魚を釣る」ことを学ぶという例えが使われ、「相場が強くなるか、弱くなるか」を知るよりも、何故そうなるのかを自分で考える術(すべ)を身につけ、自活する大事さを説いています。
今回、ノーベル平和賞を受賞した人は、貧困撲滅のために低所得層に少額の資金を事業目的で貸し出す融資、マイクロクレジット、マイクロファイナンスの草分けでした。
「慈善事業は貧困問題の解決にはならない。人間の持つ可能性を引き出す支援さえあれば貧しい人も自立できる」という信念があります。
民間の金融機関から融資を受けられない人でも、商売をして自活したいという気持ちを応援したい数人集まれば、連帯責任グループを結成させて返済の約束を守らせる仕組み。貸し出す資金の単位はそれこそ、日本で言えば数百円から数万円。大きな金額ではありません。その資金でできることは「内職が始められる、商売の品物が並べられる」程度のことですが、取り敢えず自活につなげる一歩が踏み出せるわけです。
1973年に誕生したこの金融機関は2006年2月までに累計貸出額は53億ドルを超え、577万人に貸し出し、返済率は98%。多くの人が貧困から抜け出したという報道です。577万人に53億ドル。一人当たり918ドルです。この資金が自活する一歩を踏み出す事業資金になったわけです。
融資したいお金はたくさんあるけど不良債権の影におびえる金融機関、自活に対し切迫感が見えないニート。まず一歩を踏み出すことの大事さ。貧困層に事業資金。営利事業として躊躇する一歩が今、収益機会として注目されているそうです。考えさせられたノーベル平和賞の受賞でした。