昨日のNY市場では、再度、米国政策金利の引き下げ観測が強まり、米10年国債利回りはほぼ4.4%まで低下、ドルは一時115円割れの円高・ドル安に振れました。
政策金利FFレートが5.25%の水準にあるときに、10年国債の利回りが4.4%というのは、FFレートの5.25%が異常なのか、10年国債利回りの4.4%が異常なのか。いずれにしても、こうした状況が長く続くことは考えられません。そこで政策金利FFレートを近いうちに下げるという見方が台頭したわけです。
来週12月7日に欧州中央銀行(ECB)理事会で政策金利を3.25%から3.5%に引き上げることは確実視されていて、ここにきて更にユーロ高・ドル安観測を助長しているのは、その後も利上げを継続するということも期待しています。
今後の注目は、米国は本当に金利政策を転換し引き下げに踏み切るのか、そこまで米国の景気はへたってきているのか。欧州は本当に来年以降も政策金利の引き上げを続けるほど、景気の堅調さを維持し、インフレの懸念が強く残るのか。
こうした見方のどちらに、市場のコンセンサス、ムードが流れるのか。その転換点が来週のECB理事会前後にありそうです。今年1ユーロ=1.182ドルで始まったユーロは、昨日は1.333ドル、目先1.35ドルを目指すという強気な見方が出ています。そうなれば1ドル=115円割れから112円程度までの円高を期待する見方もあります。
個人的には112円、110円割れの円高を期待していますが、何度かこのプログでも取り上げましたが、115円を大きく割り込むと、日本の強さの背景である輸出企業の業績の下方修正を連想させ、株安懸念を招きます。ドル安は日本だけの問題ではありません。韓国もウオン高による経済失速懸念があります。そのためウオン売りドル買いの為替介入を行い、これ以上のウオン高を牽制しているそうです。そしてその買い取ったドルで米国国債を買っているから米国国債利回りがさがっているという噂も出ていました。おそらく東南アジアの国は、韓国と同様にドル安懸念を共有しているでしょう。
したがって外貨投資で、しかもドルを円高になったら手当てしようと考えている人は、あまり円高の水準に拘らず、振り返ってこの水準でドルを手当てできたらOKと思える水準から、少しずつ円高を楽しみながら手当てすることをお勧めします。
今明らかな事実は、圧倒的に円高・ドル安の見方に大勢が流れていることです。
「相場の先はわからない」にもかかわらず、見方が固まっている。これって非常に危険です。ここは熱くなってバーゲンセールスの会場に飛び込んではけがをします。ウィンドウショッピングの感覚で「安ければ買おうかな」的な対応で十分だと思います。大事にしたい、今年最後のヤマ場。