まがいものでなければ、良いことばっかりの商品や悪いことばっかりの商品はなく、良い点も悪い点もあるのが普通。賢い消費者は、良い点と悪い点を知った上でバランスが取れている物を選ぶ。
銀行の広告表示は誤解を招くと世間からの非難を浴びて、広告に誤解がないように、消費者にわかりやすく明記するなど、改善されるらしい。
具体的には「米ドル定期預金13%」と派手に見せるだけではなく、「実は1ヶ月だけです。その後は通常の定期預金と同じ3.6%になります」、「1000ドルで13%の1ヶ月定期で利息は8.66ドル(税引き後)になります。為替が120円で変わらなかったら、利息は8.66ドル×119円の1031円です」「外貨預金は円からドル、そしてドルから円に戻す時には、それぞれ為替手数料1円ずつかかります。つまり同じ120円の時に定期預金1000ドルを円で預けて、ドルで満期になったドルを円で受け取る場合、最初の預けるときに1ドル=120円から1円上の121円×1000ドルの121000円を頂き、満期の1000ドルを円で受け取る際に120円から1円下の119円×1000ドルの119000円を満期金としてお支払いします。外貨預金を行う場合、必ず円からドル、そしてドルから円に戻す時の為替手数料がかかることも合わせてご検討下さい」と、注意点を伝えることになりそうです。
外貨預金の仕組み自体に問題があるわけではありませんが、この説明を聞いて理解した人で外貨預金をおやりになる方がどれくらいいるのかと、興味を持っています。私がこの説明を聞いて疑問なのは、1ヶ月13%という高金利の外貨預金を行い、為替変動がなかったにもかかわらず、1ヶ月後の元利金合計と預けた円金額を比較してマイナスになってしまうという事実です。
もちろん為替は変動し、為替水準により儲かることも損することもあるわけですが、消費者である預金者が元本を確保できるのは為替が円安になった時だけ。しかし銀行は為替変動にかかわらず、確実に往復の為替2円分を手数料として消費者から確保できるわけです。「これって、どうよ。人にばっかり為替リスクを取らせておいて」と思うのは被害者意識の強い私だけでしょうか。
今回の広告の改善により、顧客の説明が徹底されて、銀行自身が為替コストの正当性について、どう説明していくのかに注目しています。私は第三者として、銀行の為替コストの妥当性を説明できません。
「最初から、その説明を聞いていれば買わなかった」という評判が立つのは銀行イメージに大きなマイナスです。「まさかそんな勘違いはしないだろう」というところまで、注意して説明する配慮が販売する側には必要な時代に入ったようです。投資家、預金者の大半は良い話は耳に残りますが、悪い話は時間と共に薄れていきます。銀行は販売する側のリスク認識が甘いように見えます。