日経平均株価は17000円間近。来年も株価は高くなると予想する投資家が88%と強気の見方に大勢があるようです。
2003年4月、日経平均株価約7600円の時の日本は「メガバンクへの預金も偏らせては危険」、「国債も紙切れになる」という信用不安に満ちていました。過剰不良債権、過剰雇用、過剰設備の三重苦。ITバブル後、継続的に続いたリストラで職が見つからず、職を得ている人もいつまで会社に居れるかもわからない。将来の蓄えもない、年金も当てに出来ない。土地を売ろうにも買い手が見つからず、処分さえも出来ない。あの時は、「老いも若き」も、「富裕層も、そうでない人」も、将来に不安を感じていた、暗黒のどん底でした。そんなときに、誰が物を買いますか。誰が投資をするのでしょうか。
しかし、それもその後の世界的な景気回復により、不良債権が小さくなるにつれて、雇用の不安が消えました。「来月はこの会社に居るだろうか」という不安がなくなり、「給料は来月も入るだろう」という安心感が広まり、株価も上昇。華やいだ気持ちから、高齢者富裕層は、自分たちの老後を楽しもうと、財布のひもを緩め、第二の人生のためにお金を使えるようになりました。これは、将来の不安が薄れ、「お金を残して死んでも仕方ない。今を楽しむためにお金を有効利用しよう」という考え方の変化も背景にあるでしょう。投資の話にも熱心になりました。
しかし最近は雲行きがおかしくなってきました。年金問題、増税問題など、将来のお金のあり方に直接関わる大事な話の大事な点ほとんどが先送りされ、確実に個人負担が少しずつ増えている。
この3年間、確かに株価は上昇しましたが、給料が増えて可処分所得に余裕が出たわけではありません。むしろ、割くに割けない教育費の負担は増えるばかり。つまり将来に対しての不安が薄れたため、「以前持っていた物を少しずつ取り崩しても何とか将来やっていけるかな」という程度の個人消費が背景です。将来を不安に思う気持ちが再び頭をもたげてくれば、一辺に財布のひもを固くするでしょう。
最近このプログの中で、何度も政治不信の広がりに危機感を持っているコメントを書いているのは、悪政、政治の無策は投資環境をぶち壊すからです。投資の減税を継続することが投資育成の目玉でしょうか。何やら金融機関が投資顧客を確保するために、手数料引き下げに明け暮れている様子とダブります。
大事なことは、「国民が将来を不安に思う根源」を明確にして、まず一つを解決することではないでしょうか。新聞で「先送り」という文字が踊る度に、この国は大丈夫かと不安になります。法律を作るのは政治です。
国民の多くは将来の日本に前向きで、希望を持っています。2008年北京五輪。2010年上海万博。アジアに注目が集まるこの機会に、日本はどんな役割を果たし、存在意義が高められるのでしょうか。お願いだから、三流政治で日本の将来の足を引っ張らないで欲しい。国民から「それって、あきれてしまう」という非常識。まずは解決しましょうよ。