日本にリート(不動産投資信託)が誕生したのは2001年。リートと不動産株との明確な違いは、投資対象が不動産に特化しており、収益の90%以上を投資家に分配金として支払うところです。その収益の大半は不動産の値上がり益を期待せず、予定できる賃料収入を源泉とするため、株式投資よりもリスクが小さく、社債に投資するよりもリターンが大きいことを期待され、ミドルリスク・ミドルリターンの新しい金融商品として注目されました。
このリートが更にニーズが高まったのは、投資信託法の改正で、投資信託が不動産投信を投資対象として組み入れることができるようになった2003年。その後は従来の株式、債券に加えて、分散投資の新たな対象として不動産投信を組み入れた「資産分散型ファンド」の登場で、リート価格は右肩上がりを続けています。
本日の日経記事では、東証リート指数と「不動産業」だけを抜き出した業種別東証株価指数とでは、昨年末終値を100とすると、東証リート指数が129.2、不動産株指数は116.4と差が開いていると指摘がありました。
何故リートが不動産株よりも買われているか。これは実需の大きさの違いだと考えます。
もし資産分散型ファンドで、分散投資の対象として不動産株を購入できる仕組みだったら、どんな結果になっていたでしょうか。私はリートの値がしっかりした推移をしているのは、「高い分配金に魅力がある」というよりも、毎月、毎日、今後の投資に不安な投資家が消去法で、「分散投資」という美しい大義名分に誘われて「資産分散型ファンド」を購入する傾向が続き、切れ間無い買い手として存在しているからだと考えます。
「なんでこんなに高くなったリートをみんな買うのだろう」と先行きに不安を持っている人もたくさんいると思いますが、それ以上に、「水準を知らずに」、自分が意図することなしに投資する人が多いからではないでしょうか。
私は2005年当時から「不動産投資信託」は、賃料収入を収益の源泉としていたミドルリスク・ミドルリターンの質は変わり、値上がり利益を前提にした株式投資と変わらなくなったと考えています。私が「リートは割高」と叫んでから、価格が6割も上昇しているので、偉そうな事を言える立場ではありませんが、今でも・・・・私の見方は変わりません。