国内最大の投資信託「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」、通称グロソブの毎月支払う分配金が従来の40円から30円に引き下げられました。これだけ世界的に金利低下が進めば、投資している外国債券から受け取る利息収入では、とても40円の分配金を維持するのは困難です。しかも円の独歩高は続き、円安トレンドへの転換がすぐには見込めない為替相場の環境では、利息収入以外に分配金を高める要因となる神風もしばらく期待できません。
したがって運用会社としては、分配金を無理して支払い続けて基準価額がジリジリと値下がりしていくのを容認するよりも、分配金を引き下げ、基準価額の水準を維持し安定した分配金支払いの確保をめざすのは当然の対応だと考えます。
投資家としては、「基準価額がこんなに下がった上に、分配金を引き下げるなんてひどい投資信託だ」なんて勘違いしないようにしてください。分配金を無理して出してきたから基準価額が下がっていたのですから。
「こちらの投資信託の分配金はまだ下げてませんよ。こちらのほうに乗り換えてみませんか?」という話には気をつけてくださいね。「なぜ下げていないのか」について、考えてみましょう。
1.これから下げようと考えている
2.分配金を引き下げた投資信託と異なるリスクを取っている投資信託である。その場合は、そのリスクは自分にとって取れるリスクなのか。
3.いくら考えても分配金が高い理由が分からない。わからないものには近づかないのが無難です
運用会社や販売金融機関は、現在保有している、もしくは、これから投資を検討している投資家に向けて、分配金を引き下げたことにどんなメリットがあり、今後どんな点に注目してもらいたいのか、しっかり説明責任を果たすべきです。
多くの人は「分配金」を楽しみにしてきました。その分配金の見通し次第では、投資目的には合わない投資信託に変わってしまうかも知れません。
「景気が良くなれば3年後消費税を上げさせてもらいます」なんて言っている政府みたいに
「為替が今よりも大幅な円安になれば分配金を引き上げさせてもらいます」
そんな相場頼みの見通しやコメントしか期待できない運用会社であれば、安定した収益を期待することはできませんね。
投資家が「これからも任せた」と投資を安心して継続できるように、わかりやすく、丁寧に「分配金を引き下げた後にどんな運用を行っていくのか」を説明することが、運用会社や販売した金融機関の信頼を回復するためにも必要なことだと思います。