米大手格付け機関がサブプライム向け高金利型住宅ローンを担保にした証券の格付けを、大量に、そして大きく引き下げたため、サブプライム問題が再燃しました。つい最近まで高格付けを付けておいて、問題が発覚し明らかになってから格付けを大幅に下げるのなら格付け機関なんていらないと、格付け機関はプロの投資家から批判されています。
格付けが大幅に下がると、運用規定で投資対象からはずさなければなりません。はずす、つまり売ること。今誰もが買いを様子見ている、もしくは良い価格であれば売っておきたいという場面で売らなければならないのですから、「大損」は必至です。そこで格付け機関に恨み節ということです。
しかし投資のプロであれば「最悪の事態を想定していなかったのか」と厳しい見方もあります。もちろん、その前に目利きのプロとして「格付け機関」は責められる話だと思いますが。
それでは、その已むに已まれず売らなければならない債券はどれくらいあるのでしょうか?日経の新聞記事では、サブプライムローンの焦げ付き多発により、ヘッジファンドが保有する関連金融商品だけで最大520億ドル(約6兆3000億円)あるそうです。この損失で根が深いのは、投資した当初は株式や商品のようにリスクが大きな金融商品である認識がなく、リスクが小さな高利回り商品だと思って投資していたことです。「えっ、なんでこんなに大きな損失が出るのか」という大きなショックを受けている点です。思いも寄らないところで大きな損をすると立ち直れませんよねえ。世の中に「ローリスク・ハイリターン」のものなどありません。大きく上がれば必ずどこかでガツンと修正されるものです。他山の石にしたいと思います。
サブプライム問題は相場に対して大きな影響を与えないとする専門家が多くいますが、果たして本当でしょうか?こうしたリスクの認識が薄い投資マネーを呼び込んだサブプライム問題は根が深く、今回の年金問題のように掘っていくといろいろな問題がこの後も出てくるのではないでしょうか。私は安易に考えてはいけない問題だと思っています。一日で為替相場は再び元に戻りましたが、これからも今回のような突然大きく揺らぐことがしばらく続くと想定しています。