私のプログをずっと見て頂けている人であれば、不思議に思っている人も多いと思うのですが、私の投資のモノサシは常に米国の金利、米ドル為替に置いています。「米国の繁栄は長続きせず、米ドルはいつか暴落する」という人もいる中で、何で米国金利、米ドルなのかと。ユーロや新興国通貨には興味・関心はないのかと。
私が外貨投資を行う意味は、円だけの資産でよいのかという備えと相対的に日本の金利が低水準であるからです。したがって通貨円に不安なく、金利が4%、5%の確定であれば、あえて外貨投資をする意味はないと考えています。
それでは何故米ドルなのか。米ドルの不信から、ユーロや英ポンド、資源国通貨に資金が流出しているのは現実ですが、それは米ドルがそれまで圧倒的な存在だったからこぼれているだけです。もし米ドルの先行きが不安だからといって、米ドル以外の資産で投資をしろと言ったら、運用担当者は途方に暮れるでしょう。ユーロに期待が強いからと言って、米ドル資産をユーロに全て切り換えることは現実的ではありません。もちろん、元やルーブル、ランド、ペソは受け皿にはなり得ません。それぐらい、今でも米ドルの存在は大きいものです。米ドルはなくならないことを前提にすると、最弱通貨円と同様に人気のない米ドルは良い組み合わせ。米ドル以外の他通貨は円に比べて近年大きく値上がりをしていますが、米ドルとの動きは緩やかです。値動きが小さいのです。
上がらない分、大きく下がることもありません。つまり米ドル・円は為替変動リスクが小さく、海外との金利差を確実に享受できる可能性が高い組み合わせということではないでしょうか。
私の外貨投資のスタンスは、円よりも確かな資産で高利回りを確保することであって、為替の値上がり益を優先しているわけではありません。
痩せても枯れても、米ドルは今でも基軸通貨。基軸通貨を持つ国の金利動向に市場は注目します。米国金利が上昇基調であれば市場も上昇基調に、下落基調になれば下落基調に、時間の差こそあれ、同じ動きを示す傾向があります。したがって、私は米国金利に注目します。
昨日はまたサブプライム問題の今後の影響が不透明であるため、市場はリスク資産から安全資産に逃避し、米国10年国債利回りは再び5%割れ、米ドルは121円を割り込みました。しかし注目されているサブプライム問題は米国のみならず、大小はありますが、どこの国も似た問題を抱えているのではないでしょうか。世界の同時不動産高の現象の背景には、過剰な、そして無理な貸付実態があったのではないかと疑っています。つまり米国は注目されているからまず見つかっただけで、同様な問題が各国で起こる可能性を考えておかなければならないと思います。したがって早めに出たことで先に為替の調整が入っている為替と見れば、依然米ドルの円高・ドル安局面は注目だと思っています。当面121円待ち、できれば120円、119円、117円を期待していましたが、そこまであるでしょうか。いつも円高は海外時間で、日本時間では手当ができません。今回の円高の行方はどうなるでしょうか。
私が危惧しているのは、「円資産が心配。米ドル資産が心配」と不安を煽り、煽られ、取らなくても良いリスクを取らされて、振り回される人が増えることです。「円も大丈夫。米ドルも大丈夫。だけど万一のための分散投資」が基本です。