私は、1ドル=112円~117円は妥当水準だと考えています。
予想された通り、FRBが政策金利を2.25%から2.5%に引き上げた後、「円高に向かう」という見方もありますが、私は、やはり行き過ぎの水準まで円安・ドル高が進むのだと思います。
行き過ぎの水準とは、少なくとも1ドル=120円前半。さらに行き過ぎて「ドルの独歩高」も可能性ありと想定しています。ドルに資金が向かう要因は大きく分けて2つです。
ひとつは、今回、政策金利を2.5%に引き上げることで、米国の金利は短いところも長いところも、どこを切っても3%程度の水準で運用できる環境が整うからです。
世界の景気に減速の動きが出ていても、米国景気が順調であるうちは、米国の利上げペースが遅くなることはあり得ますが、政策金利を引き下げるという政策の転換まではないので
むしろ今回引き上げた政策金利の2.5%が下限金利となり、米ドルは安心して高利回りで運用できる先になり得るからです。
もうひとつは、消去法で資金が向かう先は米国以外に光が見えないこと。
中国の景気減速が鮮明となり、新興国などに資金が向いにくい。加えて、2019年は、イギリス、イタリア、ドイツもフランスも問題山積で欧州から資金が流出しやすい状況が続く。
そこで受け皿と期待されるのは日本のはずだが、日本は選挙イヤーと消費税引き上げを控えて、落ち着いて資金を振り向ける先として心許ない存在。
もし「ジャパンショック」的な日本発のショックが発生したら、ドルの独歩高に一気に向かう可能性もあると思います。
個人的には、投資対象の分散、通貨分散では将来のマーケットの激震から身を守ることは難しく、むしろ当面は消去法で安全な米ドル建て資産を主体にして激震に備えたほうがよいと考えています。
激震で割安まで売られてストンと落ちたところを拾いたいですね。