財源なき「積極財政」に市場の警告は止まらない
円安・金利上昇は「一時的な揺り戻し」で終わったか
日米協調介入によって、一度は1ドル=155円前後まで押し戻された円相場ですが、足元では再び160円目前まで円安が進行しています。同時に、長期金利の指標である10年国債利回りも再び2.9%程度と3%台が視野に入る状況です。
当局が力技で稼いだ時間はわずかで、市場は再び「日本売り(円安・債券安)」の姿勢を強めています。この背景にあるのは、高市政権が掲げる「積極財政」への根強い不信感です。
「言葉だけの財源論」で市場は誤魔化せない
骨太の方針では、「成長投資枠の創設」「歳出拡大」など前向きな政策が並びますが、肝心の具体的な財源論議は後回しのままです。
「赤字国債の発行は考えていない」
「責任ある積極財政だ」
と繰り返しますが、市場はその言葉を信用していません。財源を示せないまま「つなぎ国債」などの借入頼みで歳出を膨らませる姿勢は、実質的には赤字国債による先送りと映ります。
10年債利回り2.9%が示す「危険水域」
長期金利の上昇は、日銀の追加利上げ観測だけでは説明できません。そこには、日本の財政健全化に対する信認低下を反映した「財政リスク・プレミアム」が乗り始めています。
金利上昇は、毎年の予算における「国債の利払い費」を直撃します。利払い費が膨らめば、成長投資に回すはずの資金が相殺されてしまいます。
つまり、成長投資を掲げる政権が、自らのもたらした金利上昇によってその財源を奪われるという矛盾が現実化しつつあります。日本は今、政策の根幹が崩れかねない危険水域に足を踏み入れています。
市場が待つ猶予は秋の補正予算まで
為替介入は根本治療ではなく、単なる「熱冷まし」に過ぎません。根本にある「財政規律への懸念」や「日米金利差の構造」を放置したままでは、どれほど介入しても効果は限定的です。
市場が政権の「のらりくらり」とした対応を静観してくれる時間的猶予は、秋の補正予算や年末の予算編成・税制改正までが限界です。
ここで強調すべきは、 市場は高市政権の政策内容そのものを否定しているわけではない という点です。問題は、 財源を示さず、言葉だけで先送りしている“対応の遅さ”そのもの です。
市場はその姿勢を見て、「財源を示せないまま積極財政を続けるなら、このタイミングは円安・金利上昇を仕掛けることができる」 と判断し、機会をうかがっています。
高市政権は「明確な財源の方針がある」と言い切っていますが、市場は辛抱強く待ってはくれず、次の円安・金利上昇は、政権の覚悟を試す市場からの試練となる可能性があります。

