米商品先物取引委員会(CFTC)が29日に原油取引の監視強化策を発表、同時に一部トレーダーの投機的な取引による相場操縦に関して調査していることも公表しました。これを受けて、商品相場は全体的に売りが優勢な状況に変わりました。
「不正があれば公表する」と、調査段階からトレーダーのこれまでの行為、そしてこれからの行為に対して監視の強い意志を公にしたのです。これは、市場に大きなインパクトを与える機会になったと考えます。
うがった見方をすれば、即効性の高いインフレ抑制政策。資源・穀物の高騰は、供給を即増やす方策がない以上、投機的な動きを牽制するしかありません。「儲かっている」、「儲かっていない」という、格差を憎む感情は高まり、不正をチクル、情報を提供する環境が整っていました。
商品相場の高騰を支えたのは、長期分散投資の対象として、年金資金が商品の世界に運用資金を流し込んだため。もしその資金が不正な取引に利用されていたとなれば、少なくても追加投資はなくなり、更にそこに預けていた資金は引き揚げるきっかけになるかもしれません。
こうした資金の出入りのドタバタはそのまま価格の不安定につながるでしょう。価格の不安定さを嫌って迷うお金が確実に増えます。そのお金はどこに向かうのでしょうか。
6月に商品相場が大きく上下する相場が続けば、当然株式や為替など他の相場にも影響を与え、5月以上に大きく変動する可能性が出てきました。