急な資金繰り悪化により、企業倒産が相次いでいます。銀行が取引先の経営破綻に備えて不良債権の処理を急いだ結果です。前年同期で4−6月期は7割増。決算は黒字なのに倒産する黒字倒産。資金繰りが付かず倒産する資金繰り倒産。
7月のマンション市場動向では、首都圏の販売戸数は前年同月比45.5%減で、1996年10月以来の落ち込み。前年同月比でのマイナスは11ヶ月連続らしいです。
金繰りが厳しくなり、保有物件も売れない、そしたら虎の子になっている収益物件である「買い手がつく物件」から処理して、資金繰りにあてるしかありません。
不動産ファンド運営のダヴィンチ・ホールディングスの2008年6月期の連結決算での純利益は前年同月比92%減でした。不動産市況の悪化を受け、基幹ファンドで所有する物件などの売却が7割減にとどまったためとか。
買い手が冷静になり、「待てば安く買えるかも」と様子を見ているところに、売り急ぐ気配を見せれば価格が下がるのは当たり前。しかし資金繰りのメドが立たなければ、すべてが台無しになるため、売り手には余裕なし。買い手がいないわけではない。底値が見えて、資金繰りに不安がなければ、「この水準まで下がれば買っても良い」という投資家は出始めている。
金融機関が金融機関としての役割を果たせず、金融の目詰まりが発生していて、しかも金融機関自体が自分の資金繰りにキュウキュウしている状態では、それほど大きな期待は持てません。米国政府・FRBが「ファニーメイ」、「フレディマック」の資金繰りのバックになったように、日本政府・日銀も、直接、金融の目詰まりを解消するための早急な対応が必要なのではないでしょうか?
企業の自助努力だけでは、資金繰り不安を解消できない際のところまで来ているように思います。こういう対応が、政府の言う「セーフティネット」の整備なのではないでしょうか?こんな状態を放っておいて、「貯蓄から投資へ」と投資家を追い込んでいくのは、「投資家を育てていこう」という長期のビジョンがあるようには思えません。