先日、株式投資を専門にして長らく頑張っている友人に「こんな投資環境で仕事関係はどう?」と聞いたところ、「やりやすくなったよ」と少し意外な言葉が返ってきました。「やっぱり、きついよ」的な言葉を想定していたからです。彼が言うところでは、「バブルっていた相場の時は言動が華やかだったり、ビデュアル的な面に世間の関心がいっていたけど、そういう人はみんな飛んでいってしまった。あんな株式投資のやり方で長く結果を残すことは難しいと関係者はみんな思っていた。今残っている人のほとんどは、派手さはなくても、バブルの時から一貫した主張をしてきた人ばかり。そういう意味では非常に仕事がやりやすくなったよ」と。
これは私も同感です。今まで相談を受けていた人が「どうも最近は以前言っていたことと違ってきた、発言に一貫性がなくなってきた」と不信に思う人が増えてきたように思います。
私はそういう意味では考え方にブレはありません。相談者も「おそらく前川さんはこう答えるだろう」とわかっていて、その確認のために相談を申し込んでくる人が多いように思います。言わば、私への相談は「聞くまでもないこと」なのですが、「やっぱり前川さんはそう考えていたんだ」という確認をしただけでもOKと思われているのでしょうか。
私はこうした混迷の相場であるときこそ、投資のチャンスである「割高」と「割安」が混在しているわけですから、「これからどんなものに投資したらよいか」と個別具体的なものをただ聞くのではなく、「どんなふうに投資と付き合っていったらよいか」と、自分が今後どのように投資判断をしていったらよいかの術(すべ)を身につける絶好の機会だと思います。
人に聞いて「買った」人は、人に聞かないと「売れない」人になっています。それって非常に楽ちんに思えるでしょうが、後に残らずもったいないですよね。売るときにまた、当てにならないかも知れない専門家の意見を聞かなければなりません。「売ろうと考えているんだけど、どう?」と、当てにならない専門家に尋ねて確認し、参考にする。投資家と専門家がこういう関係にあれば、互いにストレスが少なくなるのではないでしょうか。
本日は生活クラブ連合会主催のセミナーで「投資信託の選び方」について、話をさせていただきます。ここでは、「せっかく投資をやるなら楽しんでやろうよ」というメッセージを送れたらと願って話をする予定です。