私はこの国の将来はどうなってしまうのだろう、技術立国日本という言葉が死語になりやしないかと懸念しています。無事我が息子は高校受験を終了しましたが、受験前に「別に100点取らなくちゃ合格できない訳じゃないから、捨てる問題があってもいいんだぞ」と息子に話したところ、彼の答えは「わかってるよ。俺の試験のコツは試験問題の長いものはまず捨てること」。「ふーん。えっ?」、まさかと思って問い返しました。
「それって長文読解の問題を捨てるって事?それとも問題の問いが長いものを捨てるって事?」。「当たり前じゃん。問題が長いと何言ってるのかがわからなくなって、読み返すと時間がかかるから」・・・。やっぱり。問題が長いを理由に捨てていったら、解く問題自体が少なくなって受からないじゃんか。オーマイゴット。
息子の肩を持つわけではありませんが、問題の意味が理解できない、戦う前に破れている受験生が多いようですね。
金融商品でも「条件」「特約」が付いた複雑なものが増えました。先日、有利誤認の不当表示で、公取委は新生銀行の仕組み定期預金に対して、排除命令を出しました。
「為替動向によって元本を円やドルで受け取る仕組みで、元本を円で受け取る為替の基準レートを円安に設定すればするほど受け取る金利が高くなります。したがって円高が進むと為替差損で元本割れするおそれがあります。」
この私の説明文を読んで理解できる人は、相当金融商品に予備知識のある人だと思います。私の息子であれば、間違いなく、時間の無駄として、解くのを諦める問題レベル。この仕組み定期預金の例だけではなく、「商品の理解が十分でない人にそのまま販売したら、顧客トラブルになるかもしれない」という金融商品が、不特定多数向けに販売されています。
私は疑っています。こうした金融商品を、平気で不特定多数向けに販売している金融機関には悪気はなく、売れるから売るを優先し、将来顧客とのトラブルが発生するとは予見できていないのではと。つまり、「商品を十分理解していれば、こんな売り方はしなかった」というケースではないかと思うのです。
新生銀行は再発防止として、消費者に広告をチェックしてもらう仕組みを4月から始めるそうです。消費者の目線で理解できるものかをチェックしてもらうのは一案だと思います。しかし広告のチェックは勿論大事ですが、広告を作る前に金融機関自身が採用する段階で金融商品の内容をあらゆる角度で検証し、「その金融商品はどんな人にニーズがあり、どんな人には販売してはいけないか」ということを確認してから世に出すべきでしょう。