金融庁は不動産投資信託(REIT)の運用を専門に手がける資産運用会社に初めて業務停止命令を出しました。REITに組み入れる不動産をきちんと審査せず、結果として違法建築物件を取得したため、こうした事態を放置しておけば投資家に被害がでかけないと懸念した結果です。
2001年9月、2銘柄から始まった日本版REITは、ミドルリスク・ミドルリターンの投資対象として投資家に認知され、現在36銘柄が上場しています。オリックスアセットが運用するオリックス不動産は2002年6月、4番目に上場した、いわば老舗です。
不動産を販売する、売るだけのプロはたくさんいます。しかし「購入後のメンテナンスを行い、資産価値を高める不動産のプロがそんなにいるのかなあ」と私は当初から疑っていましたし、今でもその疑いは晴れません。それぐらい賃料収入に特化して安定した収益を持続することは、高い専門能力が欠かせない難易度の高いプロの仕事だと思うからです。36銘柄上場しているわけですが、投資家はREITとして上場していることで同等に評価するのではなく、ひとつひとつの実績・内容を評価し、信頼できるところを選ぶ目が必要だと思います。強調するようですが、不動産販売のプロはたくさんいても、その後の資産価値を高めてきた不動産のプロの存在は余り聞きません。プロだから安心ではなく、プロを選ぶことが大事だと思います。
したがって、今回REITとして実績がある老舗ファンドでこういった「プロの信頼を裏切る仕事」があったことにショックを受けました。オリックスアセットの問題ではなく、REIT全体の問題として、各社は投資家に対して説明責任を果たす大事な機会だと思います。「購入物件に鑑定評価が不十分なもの、不適当なものは一切ありません」という根拠と宣言をしてもらいたいと思います。投資を行う前提である信頼に応えてください。