個別株の株価水準は射程内に入ったけど・・・??

 米国ダウが1万ドル台に再び乗せて堅調な動きを見せている一方で、日経平均株価は今週もジリッと下落し、株価の頭を抑える展開が続いています。個別株の株価水準を見れば、投資の射程内に入ってきたものも散見され割安感も出始めました。

 ホンダ、ブリヂストンに続きトヨタもF1から撤退。本業回帰の並々ならぬ決心がうかがえ、更にコストの低減を図っていく可能性が見えてきました。確かに、政府の援助・支援にかなり支えられてきた景気浮揚の過程にはありますが、一部企業には底を確認し、自立への道に入ってきたところが出始めてきたのは楽しみです。
 また米国は11月末で切れる予定だった住宅取得者への減税を来年の4月まで継続するなど、景気対策の一部延長に踏み切ってきました。予想されたことではありますが、具体的な手だて、実行は相場に安心感を与えます。
 しかし個別株ではいい水準まできた日本株ですが、まだしばらく軟調な地合いが続きそうな気がしています。これは日本固有の政治リスクの存在です。
他の先進主要国では、政府支援策の期限延長など、実態の進度に合わせて迅速な対応が意識されていますが、日本の政治に「先手を打つ迅速な対応」が期待できるのかと、現場感覚の欠けた国会の展開を見ていると不安になります。
 「長期金利の上昇」という言葉をよく聞かれるようになりました。個人的には10年国債利回りが1.45%の水準まで上昇したことを受けて、「すわっ、大変だ」と過敏に警戒するほどの水準だとは思いません。今までの自民党政権であったら・・・です。
 しかし、「別に心配するほどの水準ではない」と切って捨て、円高に敢えてけん制することをしなかった藤井財務大臣の対応次第では年末に向けて、上げなくてもよかった、食い止めることができた金利上昇を作り出してしまう危険性があると私は警戒しています。
 政策の指針を示すでもなく、いたずらに金利上昇懸念が高まっていけば、個別銘柄の水準ではいいところまで下がっていたとしても、日本株式全体が売られた結果、個別銘柄の株価を一段と押し下げるといった悪循環に入ることになります。
逆に言えば、中長期の投資家にとっては、割安な水準で日本株式に投資ができて、本来のあるべき水準以上の利回りで、国債・社債などの金利確定金融商品を手に入れるチャンスになるかも知れません。来週以降は、紅葉の気配のように、相場に彩りが出てくるような気がして、個人的にはワクワクしてきました。