何がダメで売り、何が良くて買うのか??

 本日の日経に「大型投信から資金流出続く 分配金下がり投資家離れる」という記事があり、純資産残高上位10ファンドのうち7ファンドで解約が続いていると紹介がありました。
 国際投信の「グロソブ」、大和投信の「グローバル債券ファンド」、野村アセットの「マイストーリー」、いずれも「貯蓄から投資」の流れを受けて、預金者の資金を集めた代表ファンドです。
 理由としては、期待した分配金が引き下げられ、思いも寄らない基準価額の大幅な下げを経験した預貯金者が「このままにしておいて良いのか」と投資の継続を不安に思い、疑問に感じたからだと思います。この不安や疑問に、販売側は投資家と十分なコミュニケーションが取れていたのでしょうか。もしかしたら、多くの販売する側の人間も、投資家と同様に、「このままにしておいて良いのか」と疑問や不安に思って対応していたのかも知れません。
 これら大型ファンドの多くは、金融危機が発生するまでは放ったらかしにしていても、それなりの実績を残してきたものです。解約が少なく、投資する人が増えてきたため、これほどの純資産額まで大きくなってきました。したがって投資していたほとんどの投資家は、目先の相場の動きに左右されることなく、淡々と預貯金からこれら投資信託にお金を流してきた人、預貯金の受け皿として利用し続けてきた人です。そして、今そのビッグファンドから資金が流出しているとのこと。
 これは本人の不安・迷いにつけ込み、他の投資対象に誘導する動きがあったと推測できます。「心配でしょうねえ。不安でしょうねえ」。その誘い、誘導は、かなり、その投資家たちの心を揺さぶるものでしょう。しかし、ここで非常に重要なことは、投資家を不安にさせてしまった事実はありますが、「現在のものは何がダメで、その次に投資対象とするものは、それよりも何が良くて、それは自分が求めていたリターンなのか。そして、そのリターンの源泉であるリスクは十分承知の上の選択なのか」と立ち止まって、選択した結果なのかです。
 もし、ビッグファンドを乗り換えた先が、同様に投資の不安と投資の継続を迷う対象になってしまったら、今度こそ、その方は投資家であることをあきらめてしまうことになるかも知れません。それは、当人にとっても不幸ですが、投資マーケットの市場参加者を減らすのは多くの投資関係者にとっても不幸な話です。「株式投資は特別な人がやるもの」と思われた時代であれば「相場は水もの、結果オーライでも仕方ない」という話でもさほどの影響はなかったと思いますが、、これだけ預金者の資金を引っ張り込み、政府が「貯蓄から投資へ」と誘導してしまった現在も同じ対応でよいのでしょうか。
 ビッグファンドの多くは、仕組みの分かりやすい投信だと思います。不安になってしまった投資経験を活かして、その仕組みの分かりやすい投信の何が気にくわなくて、次の投資対象には何を期待するのかを明確にしてから、新たな投資に取り組むことをお勧めします。
 「むかつくから別れたけど、次も最悪で・・・。よく考えたらよかった」と後悔しないように。