ついにギリシャは、国民に丸投げするしかない人を首相に選んだばかりにEU離脱に追い込まれる事態になりました。「離脱するぞ。離脱するぞ。いいのか。本気だぞ。えー、離脱しちゃっていいの?ほんとに?」と時間制限まで引っ張って墓穴を掘ることになりました。
ギリシャにしてみれば、「返せない金額まで貸し込んだ奴が悪い」と言い続けてきましたが、一向に返済に対して消極的で引き続き貸しても返せない額が大きくなるばかりと、「返さなくても結構、二度と貸さない。出て行け。それでマーケットは混乱するかも知れないけど仕方ない。自分たちに累が及ばないように万全を尽くすだけ」という流れです。
しかし、ギリシャのような案件は、事の大小はありますが、量的緩和を推し進めた経緯で金余りにした結果、どこの国でも火種はくすぶっているのではないでしょうか。
EU離脱で堪えられる状況にないギリシャはさらに悲惨となり、7月5日の国民投票ではEUにとどまれるようにEU国の要請を飲むことになるのだと思いますが、その後も、ギリシャの中では混乱が続く可能性が高いでしょう。
そのため、EU離脱を検討していた他国はその様子をまざまざと見せつけられてEU離脱のムードは少し収まっていくことも考えられます。しかし、逆に財政の健全化に消極的な国に対して、「EUからの離脱に追い込まれてもいいのか」とプレッシャーがかかり、欧州の中での格差にさらに緊張が高まっていくような気がします。
したがって、米国の景気減速→欧州への投資マネー流入で、欧州株式への期待が高まるという見方がありますが、米国、日本から遅れて量的緩和に向かった欧州は、現在の水準がどの程度の割高にあるかのモノサシがなく、突如、欧州からマネーが逃げ出して大崩れする覚悟をもって投資すべきだと思います。
安全資産と見られた主要欧州国債さえ投資妙味がない環境下で、「だから債券売りの株式買い」という考え方はどうしても組みできず、債券から株式ではなく、欧州以外の資産に向かうと考えたほうが自然だと思います。