何でそんなに見方がコロコロ変わるの?

 私が証券会社に入社したばかりのときに、相場の天才と言われた人の「株式相場の見方」と「注目銘柄」を聞いたことがあります。その話しは自信に満ち、引きずり込まれるものでした。ところがその話しの中にあった注目銘柄がまもなく業績不振から破綻しました。これはさぞその先輩もお困りだろうと話を聞くと、もうすでに高値近辺で売却していたとのこと。あんなに熱弁を奮って「これからはこの銘柄だけ見ておけ」と言ってたのに。
 「相場の潮目は変わりやすい。こだわりを捨てて、流れに任せて、買いを売りに変えるという機敏な対応ができないやつは相場に向かない」と言われました。そんなこと、誰にもできるはずがないだろ!!「いい加減な人だなあ」とちょっと不愉快に思ったことを思い出しました。
 現在「神様お願い」の円高願いが効いたのか、ドルは114円が見えてきました。この8月8日に始まる米国FOMCでFFレートの引き上げが見送られるという見方が広まっているからです。ついこの間まで、この8月の利上げは確実で、年内に6%まで引き上げられるという見方が台頭したのが嘘のようです。私はさきほどの先輩のように、相場の流れに任せて、機敏な対応を取るという器用なことはできません。したがって、市場の見方と違った展開になったとき、どう行動するかの準備をします。
 たとえば、「8月の利上げが打ち止めになり円高に振れたら、ドルを購入する機会とする。打ち止めがいったん円高材料の出尽くしと市場に受け止められ円安に振れるようであれば、一部ドルを手当てする」、「利上げが行われ、大きく円安に動けばドルの手当ては様子を見る。利上げが行われたにもかかわらず、為替水準が変わらない、もしくは円高に振れたら、ドル購入の機会とする」という具合に。
 この8月は円高に振れても、円安に振れてもおかしくない月になると思います。機敏に対応する自信がない人は、自分が動いて欲しくない方向に相場が動いたときにどうするかを、動く前に準備しておくことをお勧めします。