安ければ是非うちにもと考えているものに、家庭用燃料電池があります。水素と酸素を化学反応させて発電する燃料電池を家庭で使うシステムです。しかし、現在1台の製造原価が500万円かかり、とても手が届く値段ではありません。何よりもこれだけのコストをかけて、通常の光熱費と比較して見合うまで何年かかるのでしょうか。一般家庭には、最低50万円以下まで大幅値下げをしないと普及しないといわれているようです。
かなり昔に聞いた話を思い出しました。山奥の高圧電線が大雪の被害で断線し停電となって、その修繕に人、時間、お金が膨大にかかったそうです。そこで電線が凍らないように対策をしようと考えたときに、ポンプで水を送り電線に浸して凍らないようにするという方法をメーカーが思い付きました。しかしそのポンプで水を送る装置を作るのに20万円(数字は定かではありませんが)もかかると見積もったため、とても対策として現実的ではないと見送られたそうです。
しかし町の金魚やさんで空気を送るポンプを見て、これを利用できないかとメーカーの人が考えたそうです。機能的には問題がないことがわかり、見積もりを出してもらうとモーター込みで1000円程度とわかって、一気に商談としてまとまったそうです。
いろいろなひとが家庭用燃料電池に興味を持ち、なんとかコストを下げることはできないか、この部品が安く製造できれば最終製品価格をもっと安く提供できるのに、という問題意識が共有できれば、「うちのこの技術は利用できませんか」という思わぬ進展が期待できるかもと、先ほどの話を思い出しました。こうしたニーズと技術を結びつけることを仕事にする人がいると聞きますが、今の世の中必要な人材だと思います。