相場が上がった、下がったの分析がやかましくなり、まことしやかに「だから上がったんだ、下がったんだ」と悦に入る結論が出て先行きの読みに強気になると、そこが目先の転換点となり間違えることが多くあります。こうした理屈が通ったときに相場をはずすことを「理路整然と間違える」といいます。
ついに昨日、米国の10年長期金利は4.81%まで低下し、ドル為替は1ドル=116.82円まで円安になりました。6月に米国が政策金利を5.25%に引き上げる直前につけた5.24%から0.4%以上低下したことになります。
現在政策金利5.25%であるにもかかわらず、それよりも十分長い10年の金利がそれを下回る水準であるということは、「政策金利が目先更に上がることはない」、「政策金利が近い将来下がるかもしれない」というマーケットの見方の反映です。
これは大体の目安ですが、政策金利5.25%であれば、それから上下0.2%、つまり5.05%〜5.45%の範囲であれば、政策金利5.25%は妥当水準。5%〜4.8%まで低下すれば、「近い将来政策金利の引き下げもあり得る」。現在がこの水準です。しかし更に4.75%から4.6%まで長期金利が下がれば、市場は「いつ政策金利が下がってもおかしくない」と判断したことになります。
現在は2004年6月から17回連続で引き上げてきた政策金利が初めて引き下げる方向で意識した場面です。個人的には4.8%以上の低下は行き過ぎだと思いますが、常識の壁を越えてからが相場の本番を迎えることがあるので要注意。そうなれば、外債投資に消極的だった国内機関投資家が予想に反した金利低下、円安の急な動きを見て、焦って買いに走るかもしれません。9月20日の米国政策金利決定の行方まで、米国金利、ドル為替の動向は要注目です。