よく金はデフォルトのない資産と言われます。円やドルのように国家の信用が裏付けになっているペーパーマネーとは異なり、世界共通で換金が出来る金は、金そのもの、独自の価値が存在するからというのが根拠です。そのため、ドルを憂い、ユーロを憂い、安全資産である金に資金が流れ込む構図がありました。通貨ドル、通貨ユーロがリスク資産の一つとなり、金が安全資産として見なされる。
これもよく言われることですが、金は安全資産であるかもしれないが、元本が保証されているわけではなく、価格変動リスクを抱えていて、元本割れもあり得る対象でもあります。したがって、金は安全資産であるかも知れないが、安心な資産ではないということです。
ドル資産が危ないと言われているにもかかわらず、大きな資金の受け皿として金の市場規模は余りにも小さいため、結局、流動性が高い米国国債も買われ、史上最低金利まで低下し、日本の国債とさほど変わりのない金利水準という異常事態です。
個人的には、短期ならともかく、とても長期で資産を守るための振り向け先として、金や米国国債に魅力を感じません。安全資産が割高の領域まで買われてしまい、値下がりを覚悟しなければ買えない、すなわち安全資産だけど安心資産ではなくなってしまったと考えています。
ここのところ、「前川さんどうしています?」とよく聞かれるようになりました。「相場がこんな状態だから、円安・株高を唱えていた前川は意気消沈、閑なのではないか」と心配してくださっているのかもしれません。
8月、9月はけっこう忙しく動いています。円高・株安だからこそ、今するべきことはないかを、日々頭の中をぐるぐる回して考えて、必要とあらば提案したりしています。あまりにも、毎日が危うい「えっ??」と思う展開が多く、その都度、どうしたらいいかを思案しています。きっと、ここでの経験は将来活きてくるのだと今起こっていることを頭の中にインプットする毎日です。