2009年の年初から「これからは個人向け社債に注目してください」とリーマンショック以降、個人向け社債について熱く語っていた時期がありました。最近、ある人から「前川さんは、最近全然個人向け社債についてコメントしていませんが、関心が無くなってしまったのですか?」と尋ねられました。
その通り、私はここ2年程度、全く、個人向け社債の呆れた低金利の水準に関心がありませんでした。
「こんなに、社債が売れているということは社債のニーズがあるってことではないですか?」と聞かれると、
金余りで運用に困った国内機関投資家が運用したふりをするためのニーズと、こんなに低金利の水準で、しかも投資家の足下を見てもっと低い金利で資金を調達できるしかも知れないと考える社債発行者とのニーズが合致した結果であって、自由に投資機会を選べる個人はあえてこんなに低い金利水準で社債に投資して資金を拘束される意味はないと答えてきました。もし確定利回りの金融商品が望みなら、金利上昇がプラスになる変動金利型10年個人向け国債を勧めてきました。
しかし、変化の兆しが出てきました。金利上昇懸念がしばらくぶりに起こってきました。「近い将来、金利は上昇するかも・・・」と思えば、金利が上昇する前に社債を発行しようとする人が増えます。そうすると、「できるだけ低い金利で発行したい企業」と「できるだけ高い金利の社債が欲しい投資家」との力関係は逆転し、投資家が有利になります。投資家の選択肢が増えるわけです。
今年の年賀状に「今年は前川さんの年ですね。債券が注目される年になりそうですね」とコメントを頂いたモノがありましたが、一年ずれて、来年2014年が「債券、外債の年」になるのだと私は思います。
今はまだ、ショボイ金利水準ではありますが、株高・円安が進む中で、金利がじり高になっていく債券の魅力が相対的に上がってくるはずです。金利上昇は債券の価値を下げるマイナス要因ではありますが、債券にこれから投資する人にとっては絶好のチャンスになります。
世間では「債券から株式へ資金がシフトする」グレートローテーションに注目する向きが多いですが、私はむしろ個人は逆に、この機に乗じて、リスク資産から債券へとシフトしていく目を持って頂きたいと思います。