米国のFRBは予想通り、政策金利の引き上げを見送り、マーケットの6割が期待していたと言われる日銀の追加金融緩和は白紙回答となりました。結果、ドル円為替相場は一時1ドル=107円台まで円高・ドル安、海外市場での日経平均株価先物は16100円台まで株安が進みました。
マーケットで6割の方が追加金融緩和を期待したのは、「ここで追加金融緩和をしなかったら、マーケットが崩れて日本株の上昇基調は保てないよ」という怖れの現れだと思います。
日銀としては、マーケットの期待に応えて、そして黒田総裁の意地として、「やるべきか」とギリギリまで悩んだ結果だと思いますが、①「マイナス金利の効果を時間を持って見守って欲しい」とマーケットに冷静になることをお願いしている最中であること、②ここで20兆円程度の大量の国債増額買い入れを決めたら、その先は余りにショボイ選択肢しかなくなること、③かといって、国債買い入れではなく、ETFやリートの増額では、たかがしれた資金供給にしかならず、マネタリーベースの増加に寄与せず、「株価やリート価格を上げるために日銀はお金を刷っている」と目的が違うと非難される可能性が高い、など日銀内でも追加金融緩和のコンセンサスを図るのが難しかった当然の結論だったと思います。
やはり、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の維持は、黒田日銀の意地の産物でしかなく、我々は、これ以上の追加金融緩和を日銀に求めることはあきらめたほうが良いと思います。
いま日銀に求めるのは、現状の金融緩和をできるだけ長く続けることが出来るように、現在の方法をマイナーチェンジすることです。その区切りとして、これまでの金融政策は継続が難しい状況にあることを認め、これを支持してきた日銀メンバーは辞任、もしくは、そこまでの覚悟を持って、継続可能な金融緩和路線を進めていくべきではないでしょうか。
「夏、秋頃には効果が・・・・」
夏、秋頃にいざなったときに、何も変わらなかったときのマーケットの動揺を思うと、この発言は無責任だと思います。
これまでを踏まえて、今できることを一歩一歩進めるとき。これは、日銀だけではなく、我々個人も同じです。日銀の追加金融緩和はないものとして、今できることを考えたほうがよいと思います。