今月は、日本が投資して良い国かどうかを試される月になると思います。昨年末にも注目されましたが、日銀が政策金利を半年ぶりに引き上げるかに注目です。前回は、景気回復の期間は戦後最長になったが個人消費が想定よりも弱く、今後家計の動向を確認したいと見送りました。これでしばらくは「引き上げはなし」と市場関係者は受け取り、金利は低下し円安が進みました。しかし正月に突然、日銀のコメントにより「引き上げの可能性あり」という観測が急に広がりました。
コメントの内容を見る限りでは「景気動向次第で、それに合わせた金利引き上げを行うのは経済成長を阻むものではない」とこれまでの発言を繰り返したもので新味はないのですが、わざわざこの時期にあえて発言したという意図を市場ははかりかねています。明確なデフレ脱却宣言ができずにいる政府としては、景気の腰を折る要因である金利引き上げを何で急いで、この時期にやらなければならないのかという考えで、日銀の政策金利引き上げには反対の姿勢を示しています。
12月のプログにも書きましたが、私も政府の考え方に賛成ですし、もし日銀が引き上げを選択したら、正直日本に投資することに慎重になります。何故なら、日銀と政府のこれまでの互いを認める大人の関係にひびが入った証拠だと判断するからです。昨年3月の量的金融緩和の解除、そして7月のゼロ金利解除に日銀が踏み切れたのは、小泉政権が安定していて、最後には小泉政権が背景となり日銀の政策を支持してくれるという信頼関係があったからだと考えるからです。
ここで日銀が引き上げを行うのは、阿倍政権が安定性に欠け、日銀の政策決定にあちこちからの横槍が想定され、柔軟な対応に支障が出る前に行うしかないという不信感の表われだと私は受け止めています。これまでの日本は、柔軟な金融政策の対応により、金利の乱高下を抑えられ、為替も安定していました。従って金利上昇や円高懸念により、株式相場が底割れする危機も回避してきました。これは、最終的な金融政策の判断を政府は日銀に委ね、日銀は政府の方針をサポートする金融政策を行ってきた、政策の蜜月の様子が誰の目にも明らかであり、それが安心感を生み出したからだと思います。
今でも私は日銀が政策金利引き上げに踏み切るとは想定していませんが、市場では6割程度の可能性で引き上げると見ているそうです。1月18日が政策金利の変更があるかどうかの日。今年最初のヤマ場ではないでしょうか。