「野村證券ってさすがだなあ」と感じたことがあります。「ラップ口座」、「SMA口座」の各社比較をしていたときに、あるメッセージを見つけました。
「運用収益の最大化よりも、お客様のご意向にお応えすることが、私たちにとって最大の目標となります」・・、このメッセージです。ラップ口座は富裕層向けの手厚いサービスが受けられ、プロに運用を丸投げできる、夢のような仕組みであるかのような印象をもっている人が多いようですが、これは美しい誤解です。
ラップ口座は、顧客の要望を聞き、それに合わせた資産運用のアドバイスを提案するもので、最初に運用方針を立てるのも、最終的な投資判断を行うのも、そしてそれに伴う運用損益の結果も、投資家によるものです。アドバイザーはただ、投資家がその判断を行うまでのサポートをする役目です。しかし多くの投資家は、不安ではあるけど漠然としていて、何が不安なのかが明確ではありません。そのため、それを解きほぐし、不安を明確にし、対処法の選択肢を一緒に考えてくれるアドバイザーの手伝いがあれば重宝です。その手伝いがアドバイザーに求められる一番の役目であって、「私に任せていただければ、最高のパフォーマンスをお約束します」と出来もしないことを約束する勘違い野郎(少し言葉が過ぎました)が担当になると、投資に自分が振り回されて大変になります。
「この人が側にいれば何かあったときにも相談できるから安心だ」と思われるアドバイザーが人財であり、実績は後から付いてくるもの。信頼は実績の積み重ねで高まるもので、最初から過去の実績を誇張するようなアドバイザーとは距離を置き、様子を見た方がよいと私は思います。
そういう意味では、野村のこのメッセージは、不安に思う投資家に対して、これまでどんな対応をしてきたのかをかいま見るものとして「さすがだな」と感じました。ラップ口座先進国の米国では、投資家ニーズに応えられるアドバイザー不足、人材難の解消が喫緊の課題になっているそうです。みなさんに良いアドバイザーが付くことをお祈りいたします。