本日は世界同時株安、円の独歩高を受けて、「どう考えたらいいのか」という問い合わせを多くの方から受けました。
私は「円高、株安のチャンスはいずれ来る。焦ってムードに任せて投資すると後悔します。勝てると思ったときだけ参加しましょう」と話しをしてましたので、大抵は「もう良いと思いますか?」というものでした。
ここまで堅調に株価が上昇し、円安が進行したのは世界的な金余りが背景でした。売る人よりも買う人が多かったという需給のバランスが崩れていたからです。日銀が2月に金利を引き上げましたが、相対的な内外金利差は十分あり、株高・円安は続くと、その後も市場は信じました。しかし市場参加者の誰もが心のどこかで「こんな状況がいつまでも続くわけがない。どこかで逆回転する時は必ず来る」と感じていたはずです。
中国株式が約1割も下げ、米ドル、ユーロ、豪ドルなどすべての通貨が円に対して急落。月曜日121円だったドルがまさかこんな円高に振れるとは誰も考えていなかったと思います。ところが120円を割り、119円を割り。円を借りて外貨で積極的に運用していた某ヘッジファンドが円高の進行に堪らず、反対売買を行いポジションの解消をし始めたという噂がめぐり、118円を割り込み、ニューヨークダウ指数は一時500ドルの大幅下げ。本日も、アジア株式全面安。為替も円安に反転する気配は今のところ、見当たりません。
現在の市場は、さながら水鳥の羽音を源氏の夜襲と思いこみ、驚き慌てて平家の兵たちが取るものも取らず我先に逃走し総崩れになった様だと思います。上値がいくらが妥当かというイメージを持てず、17000円に乗せれば18500円、18500円に乗せれば2万円、そして最近では22000円という具合に、株価の位置が先の目標値を押し上げていました。
ここまで下がると高値づかみをして大きな傷みを抱えた投資家はかなり出ています。一方で、現在の水準でも含み益を抱えている人もかなりいます。したがって、持っていても直ぐの出直りが期待できないと見切れば、現在の水準でも良しとして利益確定で売ろうとする投資家がまだたくさん存在し、今後もまだ下がるかも知れないという不安が残っています。
確かに昨日から見れば大きく値下がりしましたが、少しさかのぼって見れば現在の水準は飛びついて買わなければならないほど割安な水準ではないからです。
「現在の水準が自分にとって納得いく水準であるのか」、そして「自分にとって納得いく水準はいくらなのか」を確認する冷静さが必要なのではないでしょうか。しかし余り株価や為替の水準に欲張ると、せっかくの水準訂正の機会を逃すことになりかねません。人がどう思うかではなく、中長期の投資で持てる水準だと自分が納得いく水準であれば、その後多少株安や円高があっても良いではないですか。底値で買うことはできないものです。下がったらまた買える余裕を持って手当することが大事です。
「下がったら買わなくちゃいけない」というわけではないですから、結果買えなくても良いじゃないですか。気楽に考えて、投資を楽しみましょう。