1997年以降、フランスでは約200億円を超える税収を失い、約5兆円の個人資産が海外に流出しているそうです。フランスで富裕層を対象にした「連帯富裕税」などの税負担を避けるためスイスなどへ移住する人が急増しているためです。連帯富裕税は75万ユーロ(約1億2千万円)超の資産を持つ人が対象で、所得税や固定資産税とは別なものらしいです。
普通の庶民は税金のために海外に移住する芸当はできませんが、富裕層は敏感に反応しますね。フランスでは税収確保のために、富裕層の重税感緩和を訴える声があるそうです。
内閣府の「国民生活白書(2005年)」によると、「正社員男性」の年間所得は20歳代で367万円、30歳代で572万円、40歳代で646万円に対して、「パート・アルバイト男性」のそれは、20歳代114万円、30歳代で162万円、40歳代147万円。「パート・アルバイト男性」の所得では、とても税金を収める余裕はありません。
破綻寸前と言われた銀行、そして日本という国は、ゼロ金利政策で国民からただの資金を集めて活かし復活を果たしました。そしてその後、一部の勝ち組企業は、リストラ断行と雇用不安を活かして、新興国並の労働力を「非正規社員」に求め、復活を果たしました。「美しい国日本」を掲げる政府は「再チャレンジ」を唱えるだけで、本人の努力では解決できない貧困層の数は確実に増えているにもかかわらず、「直ぐに格差問題は解決しない」を大義名分にして、容認しているかのようです。
貧困層の拡大を容認する日本。「税金は取りやすいところから取れ」という歪んだ税制を放ったらかし。このままでは、フランスで起きている富裕層の海外流出が日本でも他人事ではなく、貧困層の拡大にともない、財政の担い手不足の深刻さが更に高まることは必然です。だから、どうしたら良いんだという具体的なものを私は持ち合わせていません。だからこそ、知恵を出し合って国民的な議論が必要だと思います。知事選だ、参院選だと、選挙の勝ち負けにこだわり、「これって選挙にとってマイナスイメージ」って鏡ばかり気にしている政治家さんが目に入る度に、「この人たちに任せて大丈夫なのかな」と幻滅します。