IPO、新規公開銘柄の公募株が人気なのは、「公募価格」自体は同業他社比較で割安に設定されていることが多く、公募が当たれば上場時の売却で利益が出る可能性が高いからです。企業側としては、以前「公募価格の設定が高すぎたから損をした。善良な株主を食い物にして、公開企業の責任が果たせるのか」と轟々(ゴーゴー)の非難を受けた反省から、公募価格を控えめに設定する傾向があります。
ところが昨日、証券取引等監視委員会は、証券取引法に違反したとして、エイチ・エス証券を行政処分するように金融庁に勧告しました。2004年同社が主幹事証券を務めた「21LADY」の新規上場の際に、不当に高い公募価格の設定に同意し、投資家保護の要件を満たしていないという理由です。
調べによると21LADYの社長は、公募価格を設定する際に「時価総額100億円となる価格が妥当」、「最低でも以前発行したストックオプション(株式購入権)を上回らなければならない」と主張、エイチ・エス証券は理論値の2.3倍にあたる公募価格を設定した疑い。
04年10月の公募価格は11万円。上場時につけた高値は9万5千円。昨日23日引値は5万100円。本当に理論値の2.3倍が公募の11万円の株価だとすれば、理論値は4万7800円。
ちなみに、この会社の収益の大半である94%がシュークリームで有名な「ヒロタ」事業。不二家の時もそうですが、店頭で「シュークリームいかがですか」の店員さんや、それを楽しみにしている買い物客には何にも罪はありません。しかし、こういう話しを聞くと暗くなりますね。ある意味で、夢を売る商売じゃないですか。
会社の経営陣が悪いのか、幹事会社が悪いのか、あるいは同類なのか。何が良心を狂わせてしまったのでしょうか。会社、幹事証券が組んでしまったら、投資家は真実を知る対抗手段はありません。株主や投資家の信頼を裏切った罪は大きいです。