言っていることが逆でも間違っていない!!

 今週、今後の米国経済の見方が見事、真反対になる現象がありました。週初に発表された米国製造業の景況感指数で雇用が2005年5月以来の水準に落ち込んだ数字を見て、専門家は「米国経済は成長鈍化とインフレ同時進行で景気は後退に向かい、利下げせざるを得ない」という声が高まりました。そして昨日、3月米国雇用統計の数字で、予想を大幅に上回る雇用者数の増加と賃金上昇率の高止まりが確認されると、「いろいろ米国経済は問題を抱えてはいるけど景気の失速はない」という見方に変わり、利下げ観測は消え、米国金利は上昇、ドル高は進み、1ドル119円台に乗せました。
 たった1日、たった一つの経済指標の発表で、専門家の見方や相場の動きが真反対に流れてしまいます。これは、専門家の見方は当てにならないという観点よりも、現在の景気の位置が分岐点にあり、環境変化でどちらに転んでもおかしくない不安定な状態にあると考えた方が良いと思います。したがって、投資する際には、「カンカンの強気」ではけがをしますし、「カンカンの弱気」ではチャンスを捉えることはできず、むしろ「買えばもっと下がる場面があるはず」、「売ればもっと高く売れる場面があったはず」と、その時でも淡々と次の対応が取れる準備をしておくことが大事だと思います。買った後安くなれば、「やっぱり安くなったのか、買おうか。様子を見ようか」。売った後高くなれば、「やっぱり高いところがあったか。見方は間違っていなかったんだな」と。
 為替117円、日経平均株価17000円、10年国債1.7%が妥当値だとすれば、金利水準は良いところに入ってきました。日本と米国の10年国債利回りの差はほぼ3%が妥当だと私は考えているのですが、昨日日本のそれは1.67%、米国のそれは4.75%です。米国10年国債の利回りは良いところじゃないですか。できれば5%程度が欲しいですね。
為替も株式もつまらなくなってきましたから、みなさん、これから金利に注目してください。外貨MMFなどで為替を安く抑えている人は金利を長期で固めるチャンスがあるかもしれませんよ。楽しみにしていて下さい。