ラップ口座という言葉を聞いたことがある人はどれくらいいるのでしょうか。通常、有価証券の取引をすれば、売買のたびに手数料が取られますが、ラップ口座は最初に契約資産額に対して定額の手数料を払えば、追加手数料がかからない仕組みです。ラップ口座は投資家の希望を聞き、どんな投資の仕方をするのが望ましいのか、自分よりも知識も経験もある専門家がオーダーメイドの助言をしてくれるものとして期待されています。
もともとは最低契約金額が3億円以上とか、庶民からかけ離れた数字の、富裕層向けのサービスでしたが、最近では最低契約金額を1000万円まで引き下げて受け付ける証券会社も現われました。向こうから我々に近づいてきたのです。
大抵、こちらから望んでもいないのに向こうから来るおいしい話は気をつけなければならないと相場は決まっています。
そこで私のところに「ラップ口座がどんなもので、口座開設に当たって注意すべき点を視聴者に伝えたい」とテレビ東京のクロージングベルが声がかかり、先月出演しました。
今週に入って、再び同様の件で、昨日日経新聞の取材、本日はテレビ東京の録画撮りをしました。
「テレビに出ることが前もって分かっているなら連絡しろ」と以前おしかりを受けましたので、今回はお知らせします。
4月9日早朝5時45分からのテレビ東京の番組「ニュースモーニングサテライト」で「マーケットウメダス」というコマです。
「前川ってのはどんな顔してるんだ?」と物好きな人は見てください。私は当日、嫁さんの批評を隣で受けながら見ていると思います。
ところでラップ口座に対して多くの人は「経験も知識も少ない私でも、プロに運用を任せられるから安心」と期待していますが、これは美しい誤解です。ラップ口座はまだ日本で始まったばかりのサービスで、十分な実績があるわけではなく、受ける金融機関側も取り扱いになれていない、まだ過渡期にあります。任せる投資家側がプロにこうして欲しいという注文を行い、金融機関側がどこまでそのニーズに応えられるのか努力を続けなければ、ラップ口座は良いものにはなりません。
特に金融機関側は投資家の美しい誤解のまま受け入れた場合、投資家から「投資信託をやるのと変わらないじゃないか」と不満、不信を持たれて解約される事態になったら、大きなマイナスイメージになりかねません。
投資に迷いが出たときにタイムリーな助言を受けることができたり、自分では気づかなかっただろう事をプロの視点で指摘し提案してもらえるなど、投資家とのコミュニケーション能力が金融機関に期待されています。