最近、「こんな投信は買ってはいけない」的な投信バッシングが流行っています。「手数料が高すぎる」、「投資家よりも販売会社を向いた運用会社」などを問題にしている話が多いようです。
私は何度もこのブログで書いておりますが、手数料が高いから悪い投信、安いから良い投信と単純に決めてかかるのはミスリードだと思います。これは株で言えば、株価が高いのは割高、株価が安いのは割安と言っているのと同義で、本来は「手数料に対して、どれだけの実績を残しサービスを提供してくれたか」というコストに見合ったものなのかという視点が大事だと思います。手数料が高くても投資家満足度が高ければ良い投信だし、たとえ安くても低ければ悪い投信です。
投信の中には「仕組みを理解していれば売れないだろうなあ」と思われるものは確かにありますが、自分でやるよりもこの投信に任せた方が効率的で、ストレスにならないなあという、自分の目的と投信の運用方針が合えば良いものも見つかります。投信の実績に対して後付けで難癖をつけしようと思えば簡単です。
「投信は全て悪い」という見方は「投信は全て良い」の表裏で、考え方が偏っています。投信は全て一緒ではなく、良いものもあれば、これはいかがなものかという使い勝手の悪いものがあるわけです。
是非ここは良い投信の使い方を取り上げて、使い勝手の悪い投信とは何かを明確にし、投資家が選ぶのに役立つ説明が求められているのではないでしょうか。
「自分でやった方がコストがかからず、リターンもかわらない」といった、投信不要論があります。そもそも投信は自分でできないことを人に任せるための投資の道具であるはずです。日本株投資を自分で出来る器量があって時間があるひとであれば自分でやればいいのです。外債投資を自分で出来る人は自分でやった方がコストがかからないのは当たり前です。
自分で出来ない人が、それでも分散投資の一環として、その投資対象に取り組みたいと考えた人がコストとの見合いで考えるものなのです。人に任せるのだから自分で何もかもやるよりも、コストが高くても仕方ないのではないでしょうか。
私が懸念するのは、投信のコスト面だけをとらえて投信全てが悪いという印象づけが行われてしまうことです。投資の悩みを解決には投信の利用が不可欠だと、私は投資相談を受けていて実感しています。
「こんな投信買ってはいけない」という投信も仕組み自体が悪いわけではなく、リターンの割にはコストが高すぎることが問題なのです。コストが高いなら、高いことを問題にすべきであって、投信そのものを問題にするのは明らかなミスリードだと私は思います。