私が証券会社に入社したとき、10年国債の利回りは約8%でした。10年間8%の利息と10年後の元本を国が保証してくれているわけです。新入社員の私は1億円の資金があったら、年間800万円もらえて、利息で生活することも可能なんだなと感じました。株式相場は徐々に活気を取り戻しつつあり、いわゆるボロ株と言われた株価100円以下の株式が、毎日ストップ高する日が続きました。つまり10万円あればその日の内に13〜15万円になるチャンスがあふれていました。そのため、今では夢のような円で利息8%と元本が保証された国債には関心は向かず、株式の値上がり期待ばかりが注目されました。こうした相場が続くことを前提にすれば、当時新入社員の私は「元手を毎月倍にするのは難しくない」と考えました。すると元手100万円あれば、来月は200万円、再来月は400万円・・・・、8ヶ月間あれば1億円の資金を作ることが出来ると計算し、自分が一億円を手に入れて、利息で生活することも可能だと真剣に考えたことを思い出します。
何故こんな事を本日書き出したかというと、大抵の人は出来たら、元本割れのリスクを冒して不安を抱えて投資するよりも、元本が確保され金利だけで生活が出来れば、それに越したことが思っているはずです。しかしそれなのに、大抵の人は将来の生活を楽にするために、「投資」をやらなくちゃと、多くのリターンを求める人がチャレンジする株式投資など値上がり益を意識した投資を考えます。そして、一生懸命勉強して、人の話しを聞いて、株式投資を自分のものにしようと努力されている人がたくさんいらっしゃいます。しかしその多くの人は、「株式投資を理解するのは難しい。金融・経済の動きを予測するなんて芸当は私には無理」と途方に暮れてしまい、でも投資はやらなければならないと自分を責めて、毎日を疲れて過ごしている方を多く見かけます。
元々金利生活を目指していたわけですから、株式投資など値上がり利益を狙うものを目指す前に、預貯金の低金利をいかにしたらもっと高めていけるのか、金利生活に向けて預貯金以外にどんな選択肢があるのかに目を向けた方が気持ちが楽になると思います。預貯金に近い金融商品の代表格は「サイケン」=債券です。身近なもので言えば、個人向け国債、外国債券があります。まずここを投資の選択肢として押さえてから、冒頭で申し上げたように、「ここで株式投資したら損はしないだろう」と相場に勝てるときだけ参加するやりかたがお勧めです。
株式、不動産の現在の相場水準で新規投資して、値上がり利益を勝ち取る自信がおありでしょうか?私は現在の水準でも自分は勝てると自信がある人だけが参加可能な相場水準にあると思います。