「監査難民」。監査を要請しても決算に問題のありそうな企業の監査を引き受ける監査法人が現れず、監査が受けられない企業が出てくること。これにより上場廃止に追い込まれるところが増えると懸念されている。監査が不適切で不正を見逃していたことが発覚すれば、監査したものさえも罪が問われ共倒れになってしまう。したがって怪しげな会社には近づかない。
今朝の日経朝刊では、国交省が投資家保護のため不動産鑑定の監視強化を行うという報道あり。これまで、不動産の鑑定評価の根拠が明確ではなかったため、鑑定士の評価手法によって異なる結果が出ていた。鑑定評価の手法が異なれば、同じ鑑定価格でも当然同じには取り扱えず、それでは鑑定価格自体に信頼が置けないから、鑑定算出の基準を統一し開示を義務づける。そして鑑定士が不適切な評価をしたことが発覚した場合は、事後的な処分が行われることになる。
以前は鑑定評価の価格はあくまでも参考であり、実際売却して鑑定価格を大きく下回っても、鑑定士の責めは負わないとされてきたが、鑑定評価が不適切であった場合は責めを負うことになる。鑑定士の中には、戦々恐々としている人がいるかもしれない。鑑定の依頼者の要請で高めに鑑定価格を設定してきた人も少なからずいると聞く。最近では、ファンドからの不動産鑑定の依頼に慎重になっている鑑定士が出始めたという噂もある。
「監査難民」ならぬ、「鑑定難民」。辻褄の合わない鑑定価格の後を次ぐ鑑定士が現れない不動産物件が出るかも知れない。不動産価値に対して厳しい監視の目が光り出している。