先日、手数料が安い金融商品を組み合わせた資産運用の提案例を聞きたいという取材がありました。この話を聞いて、私は証券会社の駆け出し社員の時にお世話になったお客さんの顔が浮かびました。その方の口癖は「手数料は高くても良い。その代わり、手数料以上は儲けさせろよ。プロなんだから」。
私にはこの考え方が根底にあります。安いだけが売りの店は、もっと安い店が現れたらビジネスは成り立ちません。つまり「安いのが売りです」を前面に押し出すところはプロの存在として疑います。百均の「ダイソー」が支持されるのは、安い割には良いものを揃えていることが評価されているからです。
投資のように結果がすぐに出ないものは、投資する前よりもその後の方が大事になります。比較がしやすいので、手数料の高安に関心が向きがちですが、安ければ良く、高ければ悪いわけではなく、高くてもパフォーマンスが良ければよいわけです。
それではコストに見合った商品を見つける場合はどうしたらよいのか。頼りになる助言者を探す必要があります。そこで金融機関等の窓口を訪ねます。「この投信は他の投信に比べて手数料が安いのが受けています」。こんな答えが返ってきたら、ニコッと笑って別の相談者を見つけましょう。頼りにならない助言者の判別法のひとつです。