今月の視点 2022年1月

2022年1月 塩漬け資産にしておくのはもったいない!

投資した当初から大きく値下がりしたまま、放ってある金融商品はありませんか? いわゆる「塩漬け」金融商品です。例えば、1000万円で投資したものが300万円になってしまうと、「まだ値下がりしたままだな」などと、日常の値動きにさえ関心を失ってしまうのは仕方ありません。しかし、300万円の現金価値がある資産を活かすことなく放っているのは、もったいない話です。

そこで新年を迎えたのを良い機会に、現在保有している金融商品を、①今後も継続して保有するもの、②売却を検討するが、現状の価値が安すぎるので様子を見るもの、③売却して現金化するのに躊躇がないもの、に分ける棚卸しをしてみてはいかがでしょうか。そのためには、投資目的を明確にして、保有している金融商品が合致しているかどうかを改めて確認してみましょう。

今、「投資するか」を基準に
資産形成期の年齢であれば、将来のまとまった資金作りが主たる投資目的であるのかもしれませんが、定年退職後の投資の場合は、大きく増やすことよりも大きく減らすことを避け、残りの人生を豊かにするためのひとつの手段として投資と付き合っていくことのほうが大事、などと年齢や財産状況により投資目的は変化していきます。

また、塩漬けして放っている金融商品には、「今後の投資をどうやったらよいか」のヒントが隠れているかもしれません。塩漬けしている金融商品に投資信託が多くありませんか? 投資対象と言われると、株式、債券、投資信託、商品などを並列に思い浮かべる方が多いと思いますが、投資信託は株式や債券とは異なり、投資するための資金を集める器です。その投資信託の投資対象が何かにより、区別する必要があります。

よくあるケースでは、いろいろな証券会社や銀行から勧められて投資した投資信託の中味を見ると、すべて新興国株式に投資しているものだったりします。そのときのブームに乗った投資対象を各社から勧められて投資した結果です。投資信託は名称を見ただけでは内容がわからないものが多く、内容を確認する際には、運用会社の目論見書や月次レポートで個別に確認するか、購入した金融機関の担当者に確認できる資料を求めたほうがよいでしょう。

大きく価値を下げて塩漬けになっている商品は、投資した当初の元本価値は忘れて、「今から投資するとしたら選ぶか」を基準に考えましょう。例えば、株式を整理したい場合には、「今は損をしているから」といった感情が入ると、決心がつかず、保有する銘柄の数をなかなか減らすことができません。第三者の専門家に相談して売却の参考にしたり、「せめて10銘柄まで絞ろう」といった目標を立てることも有効です。「株式で遺すと、受け継いだ家族が扱いに困るかも」などと、整理する目的を設定するケースもあります。

  • 塩漬け資産に価値を見出す

2008年に1万円だった価値が一時期1000円まで値下がりし、最近では7000円前後まで戻ってきた例で、整理の仕方を考えてみましょう(図参照)。

これまでなら、まだ損をしているからと放っておくケースでしょう。今後の資産として期待できるのかを検討する目で見ると、1000円と3000円の間を行ったり来たりするボックス相場が続いていたものが、最近では、そのボックス圏を抜けて、安いところからは7倍になっていることに改めて気づく方も多いと思います。

ここまで上昇してきたのだから、さらなる上昇を期待して様子を見てもいいし、7倍になれば十分と売却を決心してもいい。正解はありません。ただし、塩漬けになっていた資産を、活きた資産として見直す機会を作ったことに意味があります。

また、損をしていたことで値動きに関心がなかったけれど、1000円と3000円のボックス相場がこれだけ続いていたなら、「安い時に買い、高くなったら売り」を行う投資対象として、「追加投資を検討しても良かったかな」といった反省をするなど、今後の投資の参考になることがあるかもしれません。