NISAで国内外債券の直接投資を可能にすべき
近年、金融市場は低金利環境から金利がある世界へと移行し、個人投資家の関心にも変化が見られます。特に、高利回り債券に注目し、定期的かつ安定収入を求める投資家が増えていることを踏まえると、NISAの投資対象に国内外債券への直接投資を認めてもらいたいと思います。
もし、直接投資の認可が困難な場合は、現行制度との整合性を図りつつ、毎月分配型債券ファンドを選択肢に加えるべきだと考えます。
国内外債券を対象に加える意義
現在のNISAでは、主に株式や投資信託を投資対象とされており、債券への直接投資は認められていません。NISAが創設された約10年前は、超低金利下でリターンが見合わず、債券への直接投資が対象から除外された背景は理解できます。
しかし近年の金利上昇により、従来の「成長資産による長期・積立・分散」を重視するNISAの枠組みだけでは、多様なニーズに対応しきれなくなっています。
特に、「確定的な収益を安定して得る」ことを目的とする投資家には、利金(債券の利息)を直接受け取れる債券投資は魅力的な選択肢です。
しかし、現行のNISAでは対象が投資信託やETFに限られるため、インカム収入を求めるニーズには合致しません。
国内外債券に直接投資できるようになれば大きな意義があります。
債券の特徴としては、以下の点が挙げられます。
①高金利環境では、利回りの高い債券を保有することで安定収益が見込め、価格変動の影響が比較的小さく、計画的な資産形成が図れること
②株式とは異なる値動きによるリスク分散効果が期待でき、外国債券の組み入れにより通貨分散の効果も見込めること
③発行体が破綻しない限り、額面で償還されるため、長期安定資産として計画を組みやすいこと
一方で、外国債券への直接投資には政策的な配慮も必要です。NISAを通じて外国債券への資金流入が拡大すれば、円安圧力を強め、為替市場への影響が懸念されるからです。
このため、外国債券への直接投資においては、当初は高格付け債に限定するなど段階的な導入が必要になるかもしれません。
毎月分配型債券ファンドの活用
国内外債券への直接投資の導入が直ちに難しい場合でも、毎月分配金が出る債券ファンドをNISAの投資対象に加えることで、安定収益を重視する個人投資家の選択肢が広がります。
これまで毎月分配型投信は「長期資産形成に向かない」との理由から、金融庁の方針により新NISAの対象外とされました。
しかし、金利環境が変化した今こそ、毎月分配型の債券ファンドがNISAの投資対象として適切かどうかを再検討する時期に来ていると考えます。
以下に、制度への導入に向けた検討課題を整理しました。
①分配金の原資の明確化
過去には、一部の毎月分配型投信において、運用収益を上回る分配金を出し続ける、いわゆる「たこ足配当」が行われ、投資家の資産が実質的に目減りするケースが問題視されました。
従来、キャピタルゲイン、インカムゲイン、為替差益などが分配金の原資とされてきましたが、今後はインカムゲインの範囲内に限定することを制度上明確にすべきです。
これにより、より確実な分配の継続と長期運用に対する信頼性が高まると考えます。
②分配金の選択制導入
資産形成層かシニアかといった属性にかかわらず、各投資家の状況やニーズに応じて、分配金を受け取るか、再投資するかを運用途中でも柔軟に選べる仕組みが必要です。
このような柔軟性を制度として備えることで、資産形成と安定収入の双方のニーズに応じられ、毎月分配型ファンドが「長期資産形成に不向き」とされた評価も見直されると考えます。
③手数料水準の適正化
毎月分配型投信に対する批判の一つに「手数料の高さ」が挙げられます。これについては、ファンドの運用・管理手数料を一定水準以下に制限することが解決策です。株式型投信と同様に、コストが過大なファンドをNISA対象から除外することで、投資家保護と制度の信頼性向上の両立が図れます。
ただし、信託報酬という運用管理コストが存在する投資信託やETFよりも、直接投資のほうが望ましいのは言うまでもありません。
かつて日本には、「マル優(利子非課税制度)」や「特優(特定公社債非課税制度)」という税制優遇が存在し、個人が預金や債券の利息を非課税で受け取る仕組みがありました。
NISA制度もこれらを参考にしながら、利息、分配金を非課税で受け取りたいという投資家ニーズに柔軟に対応することで、制度の魅力と存在意義をさらに高めることができると考えます。

