本当に今回の相場は深い爪痕を残しています。預金者から大金を投資に誘導した結果、ベテラン投資家でさえも割安だと判断して投資したにもかかわらず、その後も更に価値を下げ続けている相場に、心が折れそうな人がこれまでなかったほど広く、そして深く、いらっしゃるように感じます。
投資のきっかけがインターネット取引であったため、不安や悩みを抱えていても周りに相談できる人もいない。こんな大きな相場下落が、こんなに長く続くことがなければ、おそらく何も感じることなく過ぎてしまった人が大半だと思います。
私のところに相談に来られる方はまだ「相談できる先が見つかって良かった」と声をかけていただきますが、その方々でさえも、最近は非常に辛そうにされている人が増えてきました。
「投資とこんなつきあい方をすれば良いんだ」とある程度見えていたはずの人さえもです。
いわんや、周りに相談する人がいない、自分で抱え込んでしまっている人はかなり深刻な状態だと察します。
投資はやらなくちゃならないものではなく、やっても、やらなくてもいいものです。
しかし、やっても、やらなくてもいい投資ですが、知っていて損のないものだとも思います。
また「今は辛いけどきっと実になるから」と投資をするのを辛く感じながら続ける必要はなく、辛ければ休むのもひとつの選択です。投資は人間力を高める修養のために行うものではありません。
先日私のクライアントから「外貨投資をどう考えるのか」という質問を受けました。私の考え方は変わっていませんので、「外貨投資は円安の時よりも円高の時に始めた方がその後為替リスクに対して不安になることが少なくなるという原点に立てば、現在は外貨投資に取り組むチャンスとして以前よりも魅力的な環境だと思います」とお話ししました。
すると、「だけどこれまでも外貨投資のチャンスとして追加投資を続けてきたが、そこからかなり円高になってしまい損がかさんでいる。他の専門家の話ではまだまだ円高は続くというがどう思う?」と再度尋ねられました。
私は「今が円高の絶頂であるとは言えませんし、おそらく円高はこの先も続くでしょう。しかし外貨投資で大事なのは、いくらが円高の絶頂かを当てることではなく、いつまでこの円高は続くのか。そして現在の水準は1年後、3年後、5年後を想定したときに、今の水準よりも更に円高であると見るのか、同じような水準だと見るのか、円安だと見るのかをイメージすることが大事だと思います。
そして今の水準と同等か、それよりも円安だと思えるなら、外貨投資を検討する意味があると思います」と答えました。
するとその方はまた先ほどと同じ事を繰り返し、「前川さんが外貨投資をどう思うのかを聞きたいんだ」と言われました。
私は「私は説得するつもりは全くありませんが、求められるのであれば、いくらでもお話しします。しかし、最終的には●●さんが納得して投資することが大事です。人に言われて投資をしても辛い結果になるだけです」と答えました。
結局、その方は「為替リスクの見方に自信が持てない」ということなので、そんな状態で外貨投資はするべきではないという結論で落ち着きました。
これだけどれもこれも安くなった相場です。投資をするなら、じっくり自分が一番取りやすいリスク、自分が自信のある投資対象に絞り込んで行う時期であり、それが可能な時期だと思います。
そう思えない方は、無理して投資をせず、そう思える日を待った方がよいと思います。
更につらさ、重さを背負うかもしれない、投資になりそうであれば、様子を見ましょう。休みましょう。
いずれ、「気分転換に投資を始めてみようかな」と思える日がきますから。