最近コンサルをしてて、うれしい話が聞けました。その相談者は大和投信の外債型投資信託に投資していたのですが、その投資信託を購入した理由が「銀行から外債投資を行うなら大和證券がいいですよ」と説明されたからだそうです。それと、大和投信の外債型投信に投資するのと、どうつながったのかは定かではありませんが。
これは手前味噌ですが、私が大和證券時代は、はっきり言って「個人向けの債券案内」の品揃えの充実度、そして顧客サポート情報のわかりやすさ、営業マンの説明能力は、野村證券にも勝っていたと自負していました。当時野村證券が格付けの低さに戸惑う債券にも、個人に販売した後のフォローが可能であるかの検討を繰り返し、「投資家に必要な情報提供が継続して可能である」と判断できれば、積極的に品揃えとして用意していきました。逆に世間で売れ筋になった債券も、「これを案内するなら、こちらの方が個人のニーズに合う」という選択肢が見つかれば、頑として売ることはしませんでした。大和證券が「個人向け債券の情報発信基地」だと思っていました。
したがって、この相談者の「外債投資を行うなら大和證券」という言葉を聞いて、うれしくなった次第です。
ニーズがある商品だから売れるとは限りません。「既発外債」。既に発行された外債のことですが。「既発外債」のことをやさしく説明すれば、おそらくほとんどの個人投資家にとって有意義な投資ツールであることがわかってもらえると思います。しかし、この既発外債は店頭に並べているだけで売れる金融商品ではなく、必ず販売側の説明が必要な金融商品です。
既発外債で、一番ポピュラーなのは米国国債ゼロクーポン債です。既発外債の入門に適した外国債券です。当時の大和證券の営業マンで、「米国国債ゼロクーポン債」を知らないものはいなかったでしょう。基本中の基本です。
しかし、ある人から聞いた話しでは、大和證券の支店で「ゼロクーポン債に投資したいのですが・・」と尋ねたら、「扱ってません」と答えたとか。びっくりです。ここまで、大和證券の窓口は錆びてしまったのか?唖然です。大和證券の店頭がこの状態であれば、他の証券会社は推して知るべし。品揃えに頼りすぎて、説明して案内する、当たり前の行為がおざなりになっているのではないかと心配になりました。
本の宣伝と受け取られても困るのですが、私の「いま債券投資が面白い」では既発外債の使い勝手の良さ、魅力について書きました。もし読んでいただいた方で、「この既発外債の品揃えは個人投資家にとって必要だ」と感じていただいた人は、金融機関の窓口で「何故既発外債の品揃えが少ないのか」と訴えてください。そして曇ってしまった金融機関の目を、投資家のニーズで、声で、覚まさせましょう。特に預金者のニーズは高いので、銀行が前向きになると投資信託以上の位置づけになると思うのですが。
情けないのは証券会社。債券は銀行の預金を証券会社に呼び込むための有効なツールであったにもかかわらず、宝の持ち腐れ。このままでいいんですか?ここでも銀行に勝てなくなりますよ。