「上値が重い」と言われ続けてきた日本株式相場の投資指標に注目すると「買われすぎ」を示しているというおかしな現象が起こっています。
東証一部の騰落レシオを(25日移動平均)が129.33%と、4月22日(130.28%)以来の水準に上昇したと日経新聞にありました。騰落レシオは値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割って計算し、120%以上を「買われすぎ」、70%以下が「売られすぎ」を示すそうです。
昨日も、ある株式コメンテーターは「現在の日本株式相場は、売りの買い戻しに支えられたもの」と現在の相場を説明していました。
3月17日に日経平均株価は11691円で底を打ち、前回騰落レシオが高まった4月22日は13547円まで、ほぼ2000円、1ヶ月間で上昇しました。これは紛れもなく、売られすぎの買い戻し。そして昨日は14269円、更に700円の上昇。
当たり前の話ではありますが、この間(3月17日から5月15日)のホッタラカシ状態だった日本株式に投資する投資信託の中には3割以上も上昇した銘柄が発生しています。
相場の格言に「半値戻しは全値戻し」という言葉があるように、2ヶ月にわたる日本株のジリ高は「日本株は売り」と安心して売っていた投機家にとっては気になる水準になってきました。「本当に安心して日本株を売っていて良いのか」と。
昨年の日経平均高値18300円、3月17日の安値11700円。その差は6600円。半値戻しの水準は安値11700円+3300円=15000円。「半値戻しは全値戻し」の水準である、15000円が射程距離に入ってきたわけです。
現在日本株式相場を引っ張っているのは、同じように安心して売られていた米国株式の上昇です。ニューヨークダウ株価指数の昨年高値は14100ドル、安値は11700ドル。その差は2400ドル。昨日の引け値は13028ドル。こちらは11700ドル+1200ドル=12900ドルの半値を既に回復しました。
「えっ??相場格言をそんなに信頼して良いの?」と言われる方、いらっしゃると思いますが、私は相場格言を、過去相場で痛い目にあった人の戒めの言葉であり、知恵の言葉だと受け止めています。振り回されてはいけませんが、参考にして損はないと評価しています。
私は「全値戻し」という楽観論を吐くつもりはありませんが、「ただ売りの買い戻し」だけという、無機質なコメントには同意できません。