最近、野村證券の海外進出話が目立ちます。足利銀行の再生ビジネスに参入したかと思ったら、欧州で総額3400億円の企業再生ファンドを設立しました。そして昨日の報道では、米国で日本株を投資対象にする老舗ファンド「ザ・ジャパン・ファンド」の運用を受託したとのこと。これを突破口に、中国株やインド株で運用する投信を設定し、米国の投資信託を通じて、米国の個人マネーの取り込みを期待しているそうです。
ある意味、「日本の投資ビジネスはレベル低く未熟」と外資系の金融機関が続々と乗り込んでくる中で、海外、それも金融ビジネスのメッカ米国に乗り込んでいくのは、いかにも勇ましい感じを受けます。でも、「何で?」。
残念ながら日本株の運用実績で、野村證券ならではの運用が評価されているわけでもなく、どれもこれもインデックス運用に勝ったり負けたりで、どちらかというと現在は「ETFに勝負あり」という状況だと思います。
米国で投信事業に参入すれば、多くの営業部隊を抱え人件費がかさみ、新規投資にかかるインフラ整備の費用もかなりの額が予想されます。勇んで日本に進出してきた外資系運用会社の中でさえ日本に拠点を設けたものの費用倒れとなり、本国に撤退するところがありました。野村證券には、どんな勝算があるのでしょうか?
「メジャーに進出したんだぞ」という箔をつけるのが目的であれば、高い買い物になるのではないでしょうか?
とはいえ、日本の金融機関で「世界を相手に勝負したい」という器量も意欲もあるところが他に見当たらないのも残念なことです。世界で活躍する金融マンの話には「最近は日本の存在が無視されているようだ」という嘆きや落胆が多いようです。
正直、土地勘のないところに進出して「だまされるなよ」という頼りなさを感じます。
そういう意味では、ここはひとつ、野村證券に期待したい気持ちです。
だけど唐突なんですよねえ。「何故、今?」、「何故、米国?」なんでしょうねえ。
相場は上がれば下がるもの。日経平均株価14000円台、為替相場は1ドル=104円を固められるかがポイントですね。売りを考えていた人は様子見となり、売ってしまった人は安くなったら買いたいと思い、買えてない人は未だに買うべきかと水準に悩む。こんなところでしょうか?
「誰もが買い」と思い切る相場になるまでは大きく下がることはないと思います。
オイルダラーは、米ドルからポンドに流れ、そこからユーロ、商品市場へと広がって行きました。
米ドルが売られ、そして今ポンドが売られています。投資マネーの流れに変調が出ているのではないでしょうか?ポンドの先の、今度はユーロ、商品に向かった資金は、より安全な避難先を求めてさまよい始めているような気がします。