個人消費が停滞に入り、ついに設備投資まで慎重になってきました。原材料の高騰で、製品を作っても売れず。もう、かれこれ小泉元総理が任期満了で退任した2006年9月から2年経ちます。あのときが日本の景気の絶頂期。あれ以降は、「日本は生まれ変わった」という傲慢なムードに酔い過去の遺産を食いつぶしてきただけ。この政治の空白期間は、日本の経済を痛めつけてきました。弱者は声を失い、頑張ってきた人も心が折れ始めています。
効率を求めて世界を巡る投資マネーも、「何が割安で、何が儲かるか」よりも「とりあえず何に逃げておけば資産を守れるのか」に関心が移っているいるように思います。したがって、一番重視すべきは、「いつでも自由になる資金にしておくこと」、換金性・流動性です。
この状態は政治の混迷度が深まれば深まるほど強くなると思います。
現在、「良いものなら値段が高くても買う」という需要はどのくらい残っているのでしょうか?「良いのは分かるけど、無い袖は振れぬ」という人の割合が増えているように思います。余裕のある国、余裕のある人の数は日増しに減っていて、格差を恨む人が増えています。
最近、リートの配当利回りの高さに注目して「投資妙味あり」という言葉を聞くようになりました。私も大分価格が下がったので注目していますが、現在はまだ様子見です。
何故か。リートはもともと賃貸収入をよりどころにした金融商品でした。短期的な値上がり利益ではなく、中長期のインカムゲインを期待する金融商品です。
現在リートの多くは、ほとんど空室を持たない満室状態です。これは逆に言うと、リートのこの先に期待することよりも不安材料の方が多いと私は考えています。
景気の停滞がこの先も続くと「空室が増えていかないか」、「賃料の引き下げ圧力は高まってこないか」、「資金繰りで物件の投げ売りは起こらないか」、「金融機関の融資態度が更に厳しくなって、量の確保が困難になったり、金利の引き上げが強いられることはないか」などなど。リートは少なくても、短期的な戻しはあっても、中長期の値上がり利益が期待できる環境になるには時間がかかると思います。
換金性・流動性があり、これまで期待されていなかった通貨円、日本株式、日本債券。「政治の空白期間が続いている」という悪材料がなければ、欧米、アジアからのリスクを嫌った避難資金を受け止める絶好の位置にあると思うのですが。