本日の日経に、「年金額が運用次第で変わる変額年金の人気が一服し、契約時に金額が決まる定額年金の販売が好調だ」という記事がありました。株価の低迷で、リスクの高い変額年金が敬遠されているとのこと。敬遠しているのは誰でしょう?保険者、投資家でしょうか?
もともと、「変額個人年金に興味があります。説明を聞かせてください」と、保険者や投資家側の要請で契約した割合がどの程度あるのでしょうか?おそらく大半が、金融機関側の提案だったと思われます。つまり「リスクの説明が複雑で、実績も芳しくない、そして何よりも、手数料の取りすぎ批判が根強い」変額年金を敬遠しているのは販売金融機関ではないでしょうか?
しかし2000年頃から販売が開始され2002年10月に銀行でも取り扱われ、売れ筋金融商品になった変額個人年金保険。2007年3月末の変額個人年金保険資産残高は14兆円を超え、取扱金融機関の数は1500を超えているそうです。しかも長期運用を前提にした金融商品です。
「評判が悪いから」、「フォローが面倒だから」という理由だとは思いませんが、「変額」よりも「定額」に販売をシフトし、「変額」については「顧客から問い合わせがあったら対応する」という姿勢であれば、顧客から痛いしっぺ返しは免れないでしょう。何よりも、現場で販売窓口になった担当者は「常に顧客との関係の今後」を心配に思っているのではないでしょうか?
ここ最近問題になっていた「保険金未払い」の対応と同様に、業界を上げて、危機感を持ち、保険者、投資家へのアフターフォローに力を尽くし、「ここまでは期待していなかった。連絡ありがとう。相場が悪いのはあなたのせいではありませんから」という誠意ある対応が必要だと思います。
逆に「ご案内のように、サブプライムの問題が尾を引いていて、実績が芳しくない状況が続いています。もともと長期で考えて行ったものですから、もう少し長い目で見ていてください」と、木で鼻をくくった対応をしている担当者は、そして金融機関は、知らず知らずのうちに大事な顧客から関係を切られてしまうでしょう。大事なのは、顧客が「今後をどう対応するか」をご自身で頭の整理ができるようにサポートすることだと思います。