昨年5月末2600だった東証リート指数が急落というか、暴落というか、昨日は半値を割り込む1270の水準まで安くなりました。この間、ほとんど逃げることもできず、そのまま抱えて株価の下げを呆然と眺めていた人が多いのではないでしょうか。
こんなに株価水準が下がったわけですから、そろそろ割安感が出始めてもよいと思うのですが、実際投資するには慎重になってしまう、リート投資には悩ましさがあります。
リートは借り入れを行って収益物件を保有しているので、常に資金調達の呪縛から逃れられません。信用収縮で資金調達が困難な環境は今後も続きます。これだけ急に株価が下がれば、株式の新規発行ニーズに応えてくれる投資家もいません。当たり前ですが、不動産物件はすぐに換金するのは困難なのが普通であり、資金を返済することも、そう簡単な話ではありません。
なによりも、リートに投資する、買い手がいません。リートが上昇する相場で買い手としてエンジンの役割を果たしたのは、貸出先がなく融資競争が激化してはじき飛ばされた地方の金融機関、そして分散投資の対象として注目を集め馬鹿売れした資産分散型投信でした。このエンジンが今は完全に止まり、逆噴射でむしろ売り手に変わる心配があります。
しかし、この結果をリートだけに責任を押しつけてしまうのは気の毒だと思います。健全な借り手にお金が回らない信用収縮に問題があります。リートは2003年以前の不動産不況を救った立役者です。それこそ、信用収縮から日本を救った立役者でもあります。そこをリートの自助努力に任せて政治は見殺しにしてよいのでしょうか?
投資をする、しない、以前の問題を放ったらかして、「何で上がらないのかなあ。相場のことだから仕方ないかあ」と他人事ですます政治が、ここに来てまた足を引っ張り始めています。
受け狙いの思いつき優遇税制など、余計なことで投資環境を乱さないで欲しい。