火中の栗を正に拾っているポールソン財務長官!!

 ポールソン財務長官に対して、「政策が後手に回っている」とか「危機認識が甘い」とか、バッシングが強くなっていますが、非常に気の毒に思います。お飾りで背景を失ったブッシュ政権の中にいて、何をしてもほめられることはなく、口を開けば責任を押しつけられる、損な役回り。ある意味、彼を突き動かしているのは「今手をこまねいていたら米国金融・経済は大変なことになる」という強い危機感であり、「自分しかいない」という強い責任感だと思います。
 以前公務員改革で渡辺大臣のことを「スタンドプレー」だと陰口をたたく政治家がいましたが、「あなたはその立場だったら、同じスタンドプレーをやれるのか」と同じです。ポールソンが前に出るから、バーナンキFRB議長も協力できるのでしょう。
 リーマンを救済していたら、この窮状を救えたのでしょうか?AIGを救済しなかったら、どんなことが起こっていたのでしょうか?「タイミングが遅かった」なんて、結果を見て言うなら誰にでも言えます。しかし「この時期に何をやっても非難される」ことを知りながら、仕方ないと受け止めて、前向きな対応を続けるポールソンを気の毒に思いますし、エールを送りたいと思います。
「あなたがいるから将来に期待が持てる」。
 相場の迷走状態は続く。昨年のサブプライム問題が表面化したときに、誰がリーマンの破綻やAIGの公的資金注入をイメージできたでしょうか。リーマンが切り捨てられ、AIGが救われたのは善意な国民の痛み度の違い?その基準は?これって、同じ行為でもセクハラになったり、ならなかったりと同じようにも。ここまで社会に影響度の大きい企業まで対象になると区別するのは難しい。「全部を公的資金注入では救えない」という前提があります。そして「切り捨てる選択に迷って先延ばしをしたら全てがやられてしまう」という危機感があります。普通の人ならとっくに投げ出してしまいたくなるような難しい判断をしてきたのだと思います。
 「日本の金融機関には大きな影響はない」。
いまだに「一連の経済指標には景気の停滞を示すものはない」と他人事で市場任せにしてきた反省が見えない日本。金融機関の痛み、そしてそこにつながった企業の痛みに、「大丈夫ですか。我々はちゃんと見てますよ。頑張っている人は絶対救いますから」という政府のメッセージが届いてきません。「人財」がいるアメリカでさえ、この局面は土俵際まで追い込まれています。日本に火種はないのですか?もしかして、燃え上がっているではないですか?気づいていて、静かに鎮火に努めているなら心強いのですが。
 「そんな報告は聞いていない」なんて、いつもの決めセリフは勘弁してください。国民には、そんな政治家をほほえましく思う余裕はもはやありませんから。我々は自立をめざしましょう。何度も確認しますが、投資を行う時期は「割高な時」より「割安の時」の方が向いているのですよ。
 投資の勉強は、相場が上昇し熱くなっているときよりも、じっくり冷静に取り組める現在の方が実になるんですよ。「大変な時代になる」という不安をあおる話をたくさん聞いても役に立つことは余りありません。「今できることは何?」と小さな事を積み上げていく方が、この時期は大事ですよ。
みなさん、「せっかくのこの機会」と思い直して考えてみてくださいね。案外、悪いことばかりではないと思えるかも知れません。